昨年、北欧メタルの名盤について書いていこう・・と思って記事をひとつ作りました
が、その後サボっていました。所有しているレコードやCDを眺めると「あれもこれも書かなきゃ」となるくらい、今となっては「北欧」は良質なメタルの名産地となっていますが、とりあえず、まだ北欧メタルはコアなマニアが聴くものという感じだった80年代前半から中期ころ、私がメタルに触れ始めたころに触発された名盤について書いていきます。
スウェーデンのPROUDの唯一のアルバム
今回はスウェーデンのPROUDの1984年作、「FIRE BREAKS THE DAWN」。
日本国内盤も出て、その邦題は「情炎の白夜」。なかなかカッコいい。ていうか、そのサウンド像を的確に表現しているという点で完璧な邦題だったかも。同じEMIが国内盤を売ってたIRON MAIDENの邦題はカスみたいなのが多かったけど、この差はいったいどこから来るのか。担当者がメタルを好きかどうかで違ったのかな。
で、これが出たころ私は中学生。IRON MAIDENをきっかけにメタルにハマり、お小遣いを握りしめ自転車で貸レコード店に通い、「メタル」と書いてあるものを片っ端から借りてメタルについての理解を深めようとしていたころでした。
余談ですけどそのころの貸レコードの料金はたしか、当日返却でLPを借りると250円くらいでしたかね。翌日返却にするとこれが100円くらい上がってしまうので、なにしろおカネを持ってなかった私は必ず当日返却で利用していました。借りて家に帰ったら速攻でカセットテープにダビング、それが終わったらまたチャリに乗って返しに行ってました。令和の今となってはCDを100円とかで貸してくれるところもあるのを考えるとちょっと高かったんですね。レンタルビデオなんかは当日でも500円くらいとられた記憶が。
しかし私が通っていた貸レコード店のひとつは、当日返却250円でも安い!と思えるほど、メタル初心者だった私にとって有用なお店でした。国内盤の出てないものなど、マニアックなメタルのレコードをちょくちょく入れてくれていたのです。
この店でSHYの初期作やSTORMWITCHやTYRAN'PACE、まだブレイク前のHELLOWEENなんかのレコードを借りることができて、私のメタル世界は広がっていきました。当然そのお店はもう存在しませんが、とにかく感謝しかないです。
その貸レコード店に、PROUDの「FIRE BREAKS THE DAWN」の輸入盤が入荷され、あやしい雰囲気のジャケットに惹かれてもちろん借りたのです。
家に帰ってレコードをプレイすると、ツイン・リードの流麗なメロディとジメっとしたヴォーカルが歌い上げるキャッチーなサビが印象的な「Star Fighter」が炸裂。
今聴くとそのサウンドプロダクションはヒドイもんだと感じますけど当時はそんなことはまったく気にならなかった。華麗なメロディを陰鬱なジメジメ声で歌い上げるヴォーカルが、ガキだった私にはものすごく斬新なものに聴こえた(ちょっとANGEL WITCHのケヴィン・ヘイボーンっぽいですね)し、テクニカルなツイン・リードのハモリがとにかくカッコよくてシビレた。
トップの「Star Fighter」はいかにも80年代北欧メタル、っていう趣の疾走美旋律曲でしたが、全体的に騒々しくアグレッシヴなところはどっちかっていうといわゆるNWOBHMの影響を感じさせる。これはヴォーカルがANGEL WITCHっぽいせいだけじゃないと思うんですよね。このバランスがPROUDの持ち味だった気がします。
ヴォーカルはそんなに上手い人ではないのでなにを歌っても同じに聴こえちゃうところも多々あるんですけど、このジメジメさ加減が最高。こもり気味のサウンドももしわざとやったんだとすれば素晴らしい効果をあげています。哀愁のツイン・リードのハモリに身を任せているといつのまにか聴き終わっちゃう。これだからメタルはやめられないんだなあ。
2枚目を聴くことは永遠になさそうなのが残念
ともかく、全曲がアグレッシヴで叙情的、捨て曲は見当たらない北欧メタルの大傑作のひとつと断言したいアルバム。
当時はBISCAYAやMADISONなんかがよく話題にのぼっていましたが、私はダンゼンこっちのほうが好きでした。
未聴の方にはぜひとも手に入れることをおススメしておきます!海外盤のCDは出回っているようですがオフィシャルなものなのかな。
残念なことにこの1枚のみでPROUDは消えてしまい、どうやら2作目以降を聴けることはないであろうことは非常に残念。メンバーがほかのバンドでなにかやってたりしないのか!
追記→「SECOND ACT」 という復活作が2021年に出ました。1stとは路線がだいぶ違うものの魅力的なメロハーに仕上がっています!