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思い出の名盤:曲がよければすべてよし! ~「VICTORY」/TRANCE~

ここ最近はいわゆるジャーマン・メタルの、私にとって思い出に残る名盤の話を書いています。

その流れなら、このバンドの作品もハズすわけにはいかない・・・

のを思い出しました。

80年代の全盛期には日本人好みの美旋律でマニアックなメタルファンを陶酔させた、

TRANCE。

 

TRANCEは、70年代なかばに結成され、名前を変えたり解散したり再結成したりを経て

いまも活動している(らしい)、ドイツのヘヴィ・メタルシーンでは

先駆者的な存在のひとつであるバンド。

HELLOWEENが登場するまでは、

「ジャーマン・メタル」といわれたら日本人の口からは

SCORPIONS、ACCEPTといった名前が上がってくる感じでしたが、

このTRANCEは80年代なかばにはそれに続く勢いだった非常に重要なバンド。

残念ながら現在ふりかえってみると実績ではSCORPIONSやACCEPTに遠く及んでないですが、

初期3作、とりわけ3作目の「VICTORY」は、

ジャーマン・メタルの傑作、どころかメタル史に残る大傑作アルバムだったと私は断言します。

1stはまるっきりSCORPIONS、2ndで独自のスタイルを確立、そして3rdは大傑作

TRANCEは、1982年に1stアルバム

「BREAK OUT」を発表。

ジャケットデザインはいかにも当時のB級ジャーマン・メタルっぽい。

amazon.co.jp Break Out

ここで聴けるサウンドは、すでに世界的に成功していた同じドイツのSCORPIONSに影響されまくり。

SCOROPIONSの未発表曲をカバーしてるバンド、と言われたら

信じてしまいそうで、もう笑っちゃうくらいなんですけど、曲は素晴らしかった。

徹底的に日本人の琴線にふれそうな叙情的な曲ばかり。

このアルバムの時点で輸入盤が大ヒットとなって日本からブレイク・・・してもおかしくなかったのに。

なんでメジャーレーベルからレコードを出せなかったのか、

大ヒットしなかったのか・・・は、それも聴けばわかる・・のですが、そこは後述。

 

 

2ndアルバム「POWER INFUSION」は1983年に発表。

amazon.co.jp POWER INFUSION

 

ドラマティックで哀愁の漂う美旋律っぷりは相変わらず。

しかし若干メタル色が強くなります。

シングルとしてヒットした「Heavy Metal Queen」はカッコいいし、

それに続く「Rockstar」も明るい曲調ながらもクサいギターソロとキャッチーなサビが素敵。

ほかの曲もとにかく聴かせどころのあるメロディをもたせようと意識していることがはっきりとわかる素晴らしい曲ばかり。

なんで世界的ヒットにならなかったのか・・・は

まあ聴けばわかるでしょう。あとで書きます。

 

そして最高傑作は3rdの「VICTORY」。1985年。

amazon.co.jp VICTORY

ジャケットデザインは変わらずダサい。

しかし・・・楽曲はこれまでも充分に良かったのに、

この作品ではさらに突き抜けています。

アグレッシヴでありながら全曲がキャッチーかつ叙情的。

「We Are The Revolution」なんかは若干ポップな味付けですが、

すべての曲に美しいメロディが配置されている。

「One Man Fighter」のようなパワー・メタル風の曲や、

ラストを飾るあまりにも感動的なタイトル曲「Victory」など、

バラエティゆたかな構成の作品でありながら、

徹頭徹尾アグレッシヴなメタルであるところは一貫している。

 

この「Victory」は高校生のころに聴きまくった作品で、

私にとっては棺桶に入れてほしい作品のひとつ。

これほど素晴らしい作品を世に送り出していながら、

なぜ世界的ヒットにならなかったのか・・・

曲は最高だったのに・・・メジャーになれなかったのが本当に残念

メジャーになり損ねた理由はまず第一に、あまりにも個性的すぎるヴォーカルの声質でしょう。

私はあまり気になりませんが、まあとにかくヘンな声であることには間違いない。

生理的にダメ、という人もいるんじゃないでしょうか。

「Victory」のような素晴らしい曲をもしクラウス・マイネ(SCORPIONSのヴォーカル)が歌っていたら・・と思うとちょっと残念かも。

 

それから、もうちょっと気をつかったらどうなの・・・と言いたくなるルックス。

これも私は気にならないけれど、このあたりを助言してくれたりする人はいなかったのかな。

それとも、本人たちが「曲が大事なんだからルックスなんてどうでもいいんだよ」と思っていたか。

写真をみると、メンバーたちはいかにも音楽をやっていればそれで満足・・みたいないい人っぽい感じ。

売れるために着飾ってみよう、などということを思いつきそうにない。

↑「BREAK OUT」の裏ジャケにあった写真。ヒゲが徹底的に似合ってない。

STORMWITCHなんかもそうでしたが、当時のドイツのB級バンドはこんな感じの人たちが多かったですね。

まあ、やたらと着飾ってるのに曲はつまんない、というのよりは百万倍マシ・・・

でも、このあたりにもメジャーになれなかった原因はあるんじゃないのかなあ。

 

・・・しかし私に言わせればルックスだの声がヘンだのというのはどうでもよくて、

とにかく曲を聴いてほしい、といったところです。

曲がよければ他の多少のことはどうでもよくなる・・・

という好例だと思います。

 

で、4枚目のアルバムはTRANCEMISSIONというバンド名で89年に

「BACK IN TRANCE」という作品が出ます。

これもいい作品だったのですが「VICTORY」があまりにも良すぎたのでちょっと印象が薄かった。

 

5枚目「ROCKERS」ではアグレッシヴさが後退、ちょっと実験的にいろんなことに手を出しちゃって散漫なデキに感じてしまう作品でした。曲は相変わらずよかったのに。

そこから先は私もこのバンドを追いかけなくなりました。

どうやら現在までに9枚のスタジオアルバムを出しているようですが全部はチェックしてないのでなんとも言えません。

ヴォーカリストは交代しているようです。でも、YOU TUBEで聴くかぎりでは現在のヴォーカルもそんなに上手い人ではないみたい。

 

ともかく、初期の3作品は中古盤店でみつけたら迷わずゲットしていただきたい素晴らしい作品ということで

おすすめしておきます!入手困難になっているのが残念。再発して!

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