スウェーデンのデス/ヴァイキング・メタルバンド、AMON AMARTHのニューアルバムが出ましたね。12作目。
タイトルは「THE GREAT HEATHEN ARMY」。
前身バンドから「AMON AMARTH」になって今年で30周年らしい。オッサンになっても相変わらず暑苦しくドラマティックかつヘヴィなメタルスタイルを貫き続けてくれていることには感服する・・・・
けれども、さすがに長いことやってるだけあって、根本にあるものは変わらないとしても、徐々に少しづつ変化はある。それが成長っていうものなんでしょうが、最近はエクストリームさがどんどん薄れ、デスメタルっぽさはヨハン・ヘッグのガナリ声だけ。ガナリ声以外の部分がどんどんメロディックになっていっている。
それはそれで魅力的だったわけですが、今回はどうか。先行して発表された、アメリカのプロレスラーのために書いた曲だという「Get In The Ring」を聴いたときは、正直言って「う~ん、ヘヴィだし、リフも彼ららしさ満点だけど、印象薄い曲だな」と思ったのです。
胸に迫るヒロイックなメロディとヨハンのガナリが混然一体となって周囲にあるものすべてを蹴散らしながら疾走する、ってのがAMON AMARTHのサウンドの魅力だと思うんですけど、この曲にはそれが感じられなかった。まあほかの曲は違うかもしれない、ということで期待はしていたのですが・・・
残念ながら、これは彼ら史上まれにみる「駄作」と言うしかないかも・・・
2曲目。アルバムタイトルになってる曲。
う~ん、これもヘヴィ極まりない曲ではあるけど、リフもメロディもパッとしないなあ。ていうかこれって(ほかの曲にも感じるけど)「グルーヴ」に色気を出してるの? ギターソロもないし、流行りに乗っかろうとしてるの? まあこういう曲は前にもあったから、そうではないことを祈りたい。
もう1曲ビデオがあがっていた。これは5曲目。
こっちはちゃんとギターソロがあるものの、なんか盛り上がりに欠ける曲だな。さっきも言ったような、胸に迫るような哀愁みたいなのが欲しいのになあ。ライヴではシンガロングが巻き起こりそうでその意味ではいいかもしれないけど、あまりにシンプルでつまらない気が。
今回はSAXONのビフ・バイフォードが1曲にゲスト参加している。ビフの歌唱には文句ないし曲もそんなに悪くはないし、『らしい』といえばそうなんだけど、なんだろうこの「イマイチ」さは・・・。
それはやっぱり、先述したようなこれまでのAMON AMARTHの魅力的だった部分が全部後退してるからなのかな、という気がします。
初期のころみたいななにやってんのかよくわかんないくらいのすごいアグレッションはないし、ヒロイックなメロディもない。近作はアグレッションが後退したかわりに魅力的なメロディがいっぱいあったから聴ける作品になってましたが、今作はそのメロディがあまりに弱い。
近作はメロディックさが増すにつれヨハンのデス声の単調さが目立つようになってきた、って前に書いたんですけど、今作はメロディに魅力がないからそんな気もしない。
とどのつまり曲がつまらない。8曲目「Skagle Rides Me」なんかは中期のころの作風で嫌いじゃないけど、なんかね、以前の各アルバムの「つまんないほうの曲」ばっかりを集めたような感じ。ヘヴィでファストでドラマティックでキャッチーでヒロイックなAMON AMARTHが好きだったのに、「ヘヴィ」というところ以外は全部なくなっちゃった、と言っても過言ではないかも。
ラストの一番長い曲もな~んも盛り上がらないまま終わっちゃうし、眠たいリフを聴かされるだけで全編終わっちゃうってかんじ。
この記事もっと早く上げようと思っていたのに遅くなったのは、「もっと聴きこめば実はいいアルバムなのかも!だってAMON AMARTHだもん!」と思って聴き続けていたから。しかし聴けば聴くほど「これじゃない」感ばかりがつのる。はっきりいって駄作。彼らとて神ではないからたまにはこういうこともある、と思うことにしましょう。
結局このアルバムは我が家のCDラックの奥深くに収納され、かわりに「VERSUS THE WORLD」や「WITH ODEN ON OUR SIDE」のCDをひっぱりだして「やっぱこれが俺のもとめるAMON AMARTHだぜ!」ってなっちゃいました。まあ彼らほどの人たちならず~っと同じことやり続けるのは本意じゃないんでしょうけど、「Death In Fire」みたいなのが聴きてえんだよ!という私のようなファンは多いはずで、次作はぜひともそっちのスタイルへ回帰してほしい・・・。
今作はイマイチだったとしても彼らが私のフェイバリットバンドであることは1ミリも揺らがない。次作に期待!