VIPERやANGRA、SHAMANなどで活躍した
ブラジル出身のヴォーカリスト、アンドレ・マトスが
さる6月8日に亡くなったとのこと。
まだ47歳。私とほぼ同世代。
数日前にはステージでふつうに歌っていたらしいですが、
報道によると心臓発作が原因とのこと。
あまりに突然。すごく驚くと同時に非常に残念な気持ちです。
ご冥福をお祈りいたします。
魅力的な歌声に衝撃を受けた作品
ANGRAなどの作品についても
いつか触れたいと思いますが、
ここは私が彼が歌う作品のなかで
もっとも衝撃を受けた作品についてだけ書いておきます。
私が彼の歌声にはじめて触れたのは
1989年発表のVIPERの2ndアルバム、
「THEATRE OF FATE」でした。
このときアンドレは17歳。
私も含め、日本のメタルファンのおそらく誰もが
HELLOWEENの当時のヴォーカリスト、
マイケル・キスクにソックリ・・と思ったであろう
若々しくみずみずしいハイトーン・ヴォーカルが、
適度なスピードにのってくっさいメロディを歌い上げる・・・
というサウンド。
HELLOWEENと比べるとスピードやアグレッションは薄いけれども、
これは衝撃的な作品でした。
クラシカルでありつつも一風変わった個性的な曲構成とメロディが印象的すぎる(「Prelude To Oblivion」にはKOされた)し、
随所に使われているバイオリンやキーボードも、
いまのバンドによくありがちな「知的さを演出したいし、流行ってるからとりあえずつけてみました」的な安直さはまったく感じさせない。
それに、人生の苦難、困難といったことをテーマとして書かれているんであろう前向きな歌詞も、
deathだのkillだのwarだのと言うことを歌うバンドが多いメタルとしてはちょっと珍しかった。
そして、アルバム中で唯一
アンドレ・マトスによって書かれた曲
「Moonlight」(聴けばわかるように、ベートーベンの「月光」をモチーフとした曲)
の美しさはもう・・・
これを17歳でやっていたとは、まさに彼は天才だったんだな・・とあらためて思います。
ともかく、メロディック・パワー・メタルとして聴いても、
クラシカル・メタルと思って聴いても
とてつもなく素晴らしい作品。
個人的には、アンドレのかかわった作品をこれから聴いてみよう・・・という方には
「なにをさしおいてもまずはこれを聴いてみるべき」とおすすめしたい。
アンドレは非常にききとりやすい発音で歌唱しているので、
できれば歌詞にも注目して聴くべきかも。
彼に起こってしまったように、人間にはいつなにが起こるかわからないのだから、
とにかくなんでも一生懸命やっておかなきゃ・・・という
エネルギーがもらえると思います。