さる11月30日に、
「帝王」とも呼ばれたアメリカのスラッシュ・メタルバンド、
SLAYERが「Final World Tour」を終了。
これにてSLAYERは活動をとりあえず終わるらしい(ウソであってほしいから、「解散」とは書きません!)。
SLAYERは私をスラッシュ・メタルの世界へ引き込んだ、私にとっては最も重要なバンドのひとつ。
その名作を聴き直し、思い出をふりかえってみたい。
まずは大傑作デビュー・アルバム「SHOW NO MERCY」。
貸しレコード店をハシゴして見つけた
SLAYERのデビュー・アルバム「SHOW NO MERCY」が発表されたのは1983年。
私がSLAYERを初めて聴いたのは1985年の2ndアルバム「HELL AWAITS」で、その圧倒的スピードと邪悪さに衝撃を受け、
→思い出の名盤:スラッシュ・メタルとの出会い・・「HELL AWAITS」/SLAYER
さらにMUSIC FOR NATIONSから出ていたコンピレーション「SPEED KILLS」に収録されていた「Evil Has No Boundaries」のスタジオ・ライヴバージョンを聴いて、もう完全にSLAYER信者となったのです。
→思い出の名盤:スラッシュ・メタルへの傾倒を決定づけられた名作コンピレーション~「SPEED KILLS~THE VERY BEST IN SPEED METAL~」
↑いま聴いても死ぬほどカッコいい!私の葬式で流してほしい曲のひとつ。
「Evil Has No Boundaries」が1stアルバム「SHOW NO MERCY」の収録曲だと知り、
じゃあ聴かなきゃあ・・となったのですが、
当時高校に入ったばかりくらいの私はカネがなく、頼りにしていたのは専ら貸しレコード店。
しかし当時SLAYERは異端の音楽とされていたヘヴィ・メタルのなかでもさらにキワモノ的に扱われていましたこともあり、
その2店舗には置いてなかった。
そんななか、高校で知り合った友達から貸しレコード店の情報をいろいろ集め、
数店をハシゴして探してついにみつけました。当時FEMSから国内盤が出ていた「SHOW NO MERCY」!
↑ここには輸入盤を貼っておきます。
バイトするようになってからLPを手に入れました。ROADRUNNERから出ていた、「Agressive Perfector」がボーナスとして入ってるLP(ジャケットには「Agressive Protector」と表記されていた。ひょっとしてオフィシャルなものでない?)。
↑裏ジャケット。なんと目の下を塗ってる。ジェフ・ハンネマンは逆十字を持ってポーズをキメてるし、サタニックなイメージを全開で打ち出していました。
インナー・スリーヴにも若き日のメンバーの写真が満載。髪の毛フサフサのケリー・キング。
↑故ジェフ・ハンネマン。イカシてます!!
ジャケットデザインもメンバーのビジュアルも徹底的に邪悪さを追求していて、まだマイナーだったSLAYERを知らない人はこれだけを見て
「これだからメタルは・・・」と先入観を持ってしまっていたでしょう。当時は実際にそういう時代でしたね。
しかし・・サウンドプロダクションのチープさはともかくとしてその楽曲のクオリティはすさまじいものがあり、
こけおどし的なコープスメイクなどまったく必要なかった(実際メイクはすぐやめちゃったみたい。初期のライヴ映像などでメイクしてるカオは見たことがない)。
超キャッチーなキラー・リフ満載の本格メタルだった
1曲目の「Evil Has No Boundaries」。
さきに聴いていたスタジオ・ライヴに比べてスピードは遅く、しかもドラムの音はなにこれヒドイ・・という印象をまず持ちました。そしてトム・アラヤのヴォーカルは(おそらく意識的に)とても下品な感じ。
あまりにも軽いドラムスの音は、エグゼクティヴ・プロデューサーとして名を連ねているMETAL BLADEレコードの創始者ブライアン・スレイゲルのアイデアでこうなった・・
という話をどこかでみた記憶があるのですが、まあカネもなかったらしいし仕方がなかったんでしょうね。
しかし聴き進めていくと、そんなことはもうどうでもよくなるほどに曲は粒ぞろいであることがわかってきます。
IRON MAIDENやJUDAS PRIESTがさらに速く激しくなったような、当時としては圧倒的に速くブルータルなんだけど実は正統的なメタルであることがわかる。
「Show No Mercy」のようにハード・コア的な曲もあるにはあるけれども、基本はリフ・オリエンテッドなヘヴィ・メタル。それが当時の常識をぶち破る速さだったからキワモノ扱いされてしまった。
↑「The Final Command」。メイデンの「Phantom Of The Opera」みたいな雰囲気のイントロから一転、超スピードで爆走!ヴォーカルには一切メロディはないけれど、リフがキャッチーでカッコいいからイッパツ聴けばすぐに覚えられちゃう。
このような、MAIDENやPRIESTのようなメタルと、ハードコアのクロスオーバー的な感じの曲がある一方で、
「Crionics」なんかはちゃんと歌っているし、
「Metalstorm/Face The Slayer」「Black Magic」なんかの回りくどい曲展開はいわゆる「様式美」を感じさせます。
とどのつまり、ヴォーカルメロディが希薄であってもキャッチーなリフのカッコよさで押し切られちゃう素晴らしい本格派のヘヴィ・メタルアルバムなのです。
このアルバムをMETALLICAの「KILL 'EM ALL」と並んでスラッシュ・メタルの元祖とする向きもあるようですが、
個人的にはこのアルバムに関しては「スラッシュ」という印象は持ちませんでした。
2ndアルバム「HELL AWAITS」ではさらに速く邪悪なサウンドになり、
今作のようなリフのメロディアスさは少し後退します。
それはそれでSLAYERの独自性が完成に近づいていったということであり悪いことではなかったんですけどね、
私は「SHOW NO MERCY」のキャッチーさが大好きです。
「Antichrist」とか「Fight Till Death」のリフももう最高ですね。
そして彼らは1986年の3rd「REIGN IN BLOOD」でスラッシュ・メタルのひとつの究極の姿を作り上げることになります。
これはもうメタル史上もっとも重要な作品のひとつであり、さんざん語られているので私ごときがなんだかんだ書く必要はない・・と思っていましたが、
この流れでは触れないわけにはいかないので、次の記事でこれについても書いてみます!
→思い出の名盤:スラッシュ・メタルの究極・・・SLAYER「REIGN IN BLOOD」!!
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