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PANTERAの最高傑作は、誰が何と言おうと・・・

6月22日に元PANTERA(アメリカのヘヴィ・メタルバンド)のドラマー、ヴィニー・ポール氏が亡くなったのを知りました。

ご冥福をお祈りいたします。

 

今回はこのPANTERAの作品についてちょっと書いてみます。

PANTERAのサウンドのイメージといえば・・・

PANTERAは9枚のオリジナル・アルバムを残していますが(当の本人たちは、初期4枚については「なかったこと」にしたかったみたいですね)、彼らのサウンドのイメージは、メジャー・デビュー作となった5枚目のアルバム「COWBOYS FROM HELL」あたりから聴かれるようになった、現代のヘヴィ・メタルに絶大な影響を与えたヘヴィさとグルーヴ感が特徴のいわゆるモダン・ヘヴィネスをもったサウンドですよね。

凶暴なんだけどクリアで正確な、これまた後続バンドに多大な影響をあたえたパタパタいうアタック音を強調したバスドラが特徴的なドラムスに、ザクザクでヘヴィで聴いているだけでキモチいいサウンドのキャッチーなギターリフがのっかり、血圧爆上がりで倒れるんじゃないかと心配になるくらいヴォーカルが絶叫する・・・というのが、PANTERAの特徴として一般的じゃないかと。

6作目「VULGAR DISPLAY OF POWER」がそのサウンドを完成させた最高傑作、というのがメタル界では常識的な見方ですね。

たしかにカッコいい。

この作品以降は作を重ねるごとにどんどんヘヴィになり、それとともに楽曲のキャッチーさは失われていきだんだんつまらなくなってくるのですが、とりあえず「VULGAR DISPLAY OF POWER」アルバムがメタル史に輝き続ける大傑作アルバムであることは間違いないところ。


amazon.co.jp Vulgar Display of Power

しかし・・・個人的には、PANTERAの最高傑作は「VULGAR DISPLAY OF POWER」ではない、と思っているんです。

1988年の4作目「POWER METAL」

私がPANTERAの作品を初体験したのは、高校生の時に貸しレコード店(その店はメタルマニアの店員さんがいたようで、マニアックな輸入盤レコードをよく入荷していた)で借りた3rdアルバムの「I AM THE NIGHT」。

 

それを聴いたときは、ヴォーカルの声と曲調から、「アメリカンで、ギターがテクニカルなDEF LEPPARD」という印象を持ちました。

2曲目の「I Am The Night」のリフのカッコよさにとにかくヤラレたんですが、全体的には正統派USメタル、しかしギターは猛烈にテクニカルで個性的、曲は凄くカッコいいんだけどヴォーカルがイマイチだなあ・・・というのが正直なところでした。

 

そのずっと後になって、1stの「METAL MAGIC」と2ndの「PROJECTS IN THE JUNGLE」を都内の中古レコード店で発見しました。

ついてた値段がどちらもたしか5000円前後。カネのない学生だった私は両方買うことができず、泣く泣く「PROJECTS IN THE JUNGLE」のほうだけを買った、ということがありました。

このころのルックスはいわゆる「グラム・メタル」っぽいんですけど、

↑2ndアルバムの裏ジャケット。私が所有しているものを撮影。若い!

楽曲は素晴らしかった。「Like Fire」なんて聴くと、メジャー・レーベルからデビューしたバンド、と言われてもまったく違和感がない。自主製作とはとても思えないクオリティ。楽曲はすでに一流だったのに、小学生に図工の時間に書かせたかのようなジャケットデザインはほんとうに残念。↓

 

 

で、ここからは今回の本題、4thアルバムの「POWER METAL」の話。

このアルバムから、ヴォーカリストがフィル・アンセルモにチェンジ。

そして、サウンドは前の3作とは比較にならないくらいヘヴィになり、グラム・メタルっぽさは希薄になり、正統派USメタルとスラッシュ・メタルを融合したようなサウンドに変化。

このアルバムは完璧な作品でした。

イマイチだと思っていたヴォーカルが、ロブ・ハルフォードやカール・アルバート(故人。VICIOUS RUMORSなど)を彷彿とさせる、超強力なヘヴィ・メタル然とした歌唱を聴かせるフィルに交代したことによって、私にとって理想のサウンドのバンドになっちゃった。

全曲がキャッチーなリフと歌メロをもち、そのうえブルータルでアグレッシヴ・・・という、メタルとはこうあるべきだ、という作品のひとつ。

「POWER METAL」アルバムの楽曲の素晴らしさを体験したら、そののちの作品は「ただギターのザクザクに身をまかせるのが気持ちいいだけ、ただそれだけ」と言いたくなってきます。

 

↓こちらも私が所有するLPの裏ジャケットを撮影。ジャケットにヘンな絵を使うのをやめたけれど、安っぽさは変わらず。長髪のフィル・アンセルモはかなりいい男。

 

「COWBOYS FROM HELL」以降の作品はさらにヘヴィネスを重視したサウンドになっていき、それで大成功したわけですが、正統派メタルのほうが好きな私としてはどう考えても「POWER METAL」が最高傑作でした。

彼らの公式サイトにも初期4作は掲載されてないくらいなので再発されることはまずなさそうで、音源の入手が困難な状況はおそらく永遠に変わらないであろうことは非常に残念。

どうでもいい内容の作品ならそれでもいいですが、少なくとも1st以外は名盤と呼んでも差し支えないデキでした。

 

ともかく、「POWER METAL」という大傑作アルバムが、つくった当人たちに「なかったこと」にされてるのはほんとうに残念。中心人物ふたりが故人となってしまってはそれもかわるはずがないですが・・・。

 

中古盤店やネットで発見したら、必ず手に入れることをおすすめしておきます!

(ただし、1st~3rdアルバムのCDを見つけたらそれは間違いなくオフィシャルなものではないので注意が必要です。「POWER METAL」はいちおうオフィシャルでCDが出たようですが、現在流通しているのは偽物のほうが多い模様)

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