待望の丘みどりの新曲「明日へのメロディ」が先日発売されました!
あらゆる意味で充実度ナンバーワン、最も注目するべき歌手であり、私ももちろんCDを入手。
今回はその感想を。
事前の情報にふれた時点では、あまり期待してなかったが・・・
CDは3種類が発売。Type-A、
と、Type-B
それから、Type-Aにミュージックビデオなどが入ったDVDがついた「プレミアム盤」。
Amazon.co.jp 明日へのメロディ(プレミアム盤)<CD+DVD>
私はもちろん全部購入。
しかし、前情報の段階では、あまり期待していなかったのです。
演歌色はないということだし、作曲は弦哲也先生じゃないし。
曲名が「明日へのメロディ」。な~んか、「コロナとかあってたいへんな時代だけど負けずに頑張っていこう」みたいな、J-POPにありがちな陳腐な前向き応援ソングみたいな曲だったら嫌だなあ、というふうに心配になっちゃった。
なので、買うのも少し迷ったり。少なくとも弦哲也先生がメインソングライターになってからは彼女の作品でガッカリしたことはなかったけど、ひょっとして「残念」と初めて記事に書くことになるか・・という心配も。
そんな感じでいたとき、彼女のラジオ番組「丘みどりのそばにいて」で先行して流れたのを耳にしたんです。聴いてビックリ。心配して損した。これは・・・・
みごとに新境地をひらいた!さすがだ・・・
いやいやいや・・陳腐な前向きソングどころじゃなかった。どん底の絶望のなかに、かすかな希望をなんとか見出そうと足掻く、といった趣きの曲。ラジオで聴いてすぐ、1ミリも迷わずCDを予約。
ゴシック・メタルにありそうなピアノのイントロでもう「オっ!!」と引き込まれちゃう。「サラバイ ララバイ サラバイ」のフレーズはもう一発で耳にこびりつくキャッチーさ。
絶望に包まれた曲調と歌唱。これまでも、哀しみに血の涙を流しているような曲はあったけれども、それとはちょっと違ったダークさを感じさせる。「佐渡の夕笛」にしろ「鳰の海」にしろ、そこには「女」の哀しみがあって、「女」を感じさせる歌唱になっていたけど、今回はそういう感じじゃない。どこまでもひたすら重い。
歌詞もカッコいい。猛烈に後ろ向きでなげやりな言葉で始まるんだけど、最後には「まだ終われないよ」ってなるところはすごく共感できる。私もすでにほとんど人生を降りている人間だけれど、どこか少しだけ「生きたいよ まだ終われないよ」と思っているところが少しだけあるから。
絶望に打ちひしがれているときに「もうちょっと頑張ってみよう」という気持ちを奮い立たせてくれるのは、こういうふうに絶望を叩きつけてくれる曲なんだなあ。前向き応援ソングを聴かされると、なにかこう「憐れでかわいそうな人」に対して上から見下ろしながら「がんばってね~」と言われてる気分になるし、「あんたは絶望したことねえだろ。うらやましい」と思っちゃう。
これはこれまでの彼女にはなかった歌。重いテーマのドラマのエンディングとかに使われたら相当にインパクトがあるんじゃないか。そういうきっかけで大ヒットしてくれたら、ついに丘みどりが歌謡界の第一人者になるときがくるかもしれない。
三田村邦彦とのデュエットがイイ感じ
カップリング曲は、Type-Aが「雨のなごり坂」、Type-Bが「あなたと、君と」。
「雨のなごり坂」はしっとりとした哀愁をただよわせる曲。これもすごくよかったんですけど、もう一方の「あなたと、君と」はさらに素晴らしかった。
「あなたと、君と」は俳優の三田村邦彦とのデュエット。ラジオでの共演が縁でデュエットが実現したという話でしたが、いやあ三田村の歌唱はカッコいい。昔昔に歌手活動をやってたのは知ってたけど、曲は聴いたことなかったので、その魅力的な甘い声にちょっとビックリ。なんか浜圭介先生みたいだ。
「明日へのメロディ」とは打って変わって徹底的に希望にあふれた曲。丘みどりの歌唱もこちらは徹底的にやさしく可憐。長年連れ添ったご年配のご夫妻がこれを幸せそうに歌ってるところをみたら涙が出てきちゃうかも。必聴です。CDには男性用カラオケと女性用カラオケが用意されているのも親切でイイ。
大ヒットの予感もするが・・・「演歌歌手」であることにはこだわってほしい
そういうわけで、丘みどりが新境地をきりひらいた素晴らしい作品。もう絶対に買っておくべきですね。
先述のように、なにかドラマや映画などで使われてくれたりすれば大ヒットになるんじゃないか、という予感がしてます。でも、この演歌色ゼロの曲がめちゃめちゃ売れちゃったとしても、「演歌歌手」であることは絶対にやめないでほしいなあ~と。
ラジオでもいつも「演歌歌手の、丘みどりです!」ってわざわざ言ってるくらいだからそんなことにはならないと思うけど、「演歌色ゼロのほうがやっぱり売れる」となれば、キングレコードも所属事務所も「こういうのでいいんだな。こういうのをもう一丁」となっちゃうのかな、と思うとちょっと心配。
いや、曲がカッコよければべつに演歌色がゼロでもべつにいいんです。でも、方向性がブレブレになってつまらなくなる歌手はいっぱいいた(いる)ので。あくまでも演歌歌手として、演歌で売れることを目指してもらいたい。
とはいっても、この「明日へのメロディ」は、演歌ではないにしても、丘みどりにふさわしい曲、丘みどりらしい曲になっていて、違和感はまったく感じないので、「新境地」ではあっても「路線変更」「方向転換」ではないというのは明らか。この素晴らしい新曲でもって、歌謡界を制覇してほしい!