私の超個人的な思い出作品についての記事の続きです。
中学から高校にあがるころ、IRON MAIDENやJUDAS PRIESTを聴いて、
軟弱、ポップなアメリカのメタルに飽き飽きしはじめ、
より速くより重いメタルが聴きてえ・・・と
貸しレコード店に通う日々を送っていました。
このころは若くて純粋だったこともあり、
たくさんの作品に感化されました。
今回の 「HELL AWAITS」/SLAYER
もそのなかのひとつ。
速けりゃあいいってもんじゃないだろ・・と最初は思ったが・・
御存じない方のために一応書いておくと、
SLAYERはアメリカ・カリフォルニア州出身のスラッシュ・メタルバンド。
1983年のデビュー以来、一貫してスピードとアグレッションを追い求めたスタイルで
メタル界を牽引している存在です。
高校一年生の私が貸しレコード「友&愛」でみつけた「HELL AWAITS」は、
SLAYERの2枚目のアルバム。
「より速く、より重いメタルを・・・」と思って借りたレコードでしたが、
これにはびっくりした。ていうか正直に言うと最初は笑っちゃった
(私自身がメタル初心者だったのもありますが、一般のメタルファンにとっても当時の彼らはキワモノ扱いだったので、同じように感じた人は多かったはず)。
当時の(そのうえ純朴な少年だった私の)常識からは
とてつもなくかけ離れたスピードとアグレッション。
まず、1曲目「Hell Awaits」の、SEの悪魔ののうめきみたいな声が
「採尿~っし!・・・採尿~っし!」としか聴こえず
その時点で失笑しながら「なにこれ・・・」と。
そしておどろおどろしいイントロへ。
そのときの私はJUDAS PRIESTの「The Hellion」や
IRON MAIDENの「The Ides Of March」などを聴いたばかりで、
こういう入り方をするメタルバンドって多いんだな~と
感じたところへ、怒涛のスラッシュ・メタルが爆発します。
うおお…凄えスピード・・・
これはその時点まで体験したことのないスピード。
そこへ、トム・アラヤがものすごい早口でガナるヴォーカルがかぶさってきます。
この早口にも、このときは失笑してしまいましたが、
おもしろくて笑っちゃったんじゃなくって、
もう衝撃が凄すぎたから。
そのサウンドプロダクションのチープさも手伝って、
「これはほんとうに人間がこの世で録音したものなんだろうか・・・?」
という疑問すら持ちました。
しかしまあ、最初の感想は
「速けりゃあいいってもんじゃあないだろ・・あまりにも速すぎだよ。メロディもへったくれもない」
という感じでした。
しかしさらに聴き込み、ほかのスラッシュ・メタルバンドなどを聴いたりしていくうちに、
「いや・・・これは実はものすごいアルバム、ものすごいバンドだ」
と思い知っていくことになります。
これほどのスピードとアグレッションを表現していたバンドは
当時SLAYERしかいなかった。
しばらくすると私は友達に「SLAYERは最高」とふれまわり、
毎日毎日「Hell Awaits」や「Kill Again」を聴きながら
ステレオの前でヘッドバンギングをしまくるようになります。
そして、私がSLAYER信者になることを決定づけたのは、
のちに聴いた「Evil Has No Boundaries」のライヴ・バージョンと、
ビデオでみた「THE ULTIMATE REVENGE COMBAT TOUR LIVE」の映像。
「COMBAT TOUR」ではじめてスラッシュ・メタルバンドのライヴをみた
「THE ULTIMATE REVENGE」は1985年に発売された映像作品で、
VENOM、EXODUS、SLAYERのライヴとインタビューなどを収録。
私はこの作品の存在を知り、どうしても見たくて
家から電車で1時間くらいかかる御茶ノ水まで行って、
(いま思い出すと)海賊版やら不正にダビングしたものやらを
たくさん売ってたっぽいビデオショップで
ベータの(若い方わかりますか?)
この作品のビデオを購入。
いくらだったかは忘れましたが、高校生でまだバイトもしてなかった私にはかなりの出費でした。
・・・が、それをはるかに超えるだけの価値がこのビデオにはありました。
EXODUSやVENOMもよかったが、
とにかくSLAYERのスピードとアグレッションは別格すぎた。
いまはいい世の中で、この伝説的ライヴ映像がネットで無料でみられます。
動画の36分くらいからはじまるのが「Hell Awaits」。
「ニューアルバムからの曲」としていますが、
アルバムのバージョンよりもさらに速い。
続いて演奏されている「Chemical Warfare」(動画の42分くらいから)は当時
「メタル史上最も速い曲」と言われていましたが
そう言われるのも納得する速さ。
もちろん今なら、BPMであらわせばこれより速い曲をやっているバンドは
掃いて捨てるほどいるでしょうが、
「スピード感」という意味でSLAYERに勝るバンドはいまだにいないんじゃないでしょうか。
この、アルバムで聴くよりも圧倒的にすさまじいライヴをみて、
私は完璧にSLAYERの信奉者となり、
スラッシュ・メタルへ傾倒していくことになります。
さらにこの後、
高校2年のときに
3枚目のアルバム「REIGN IN BLOOD」を聴き、
さらにノックアウトされるのですが・・・
それについてはまた別の機会に。
追伸:この記事のために調べて知ったのですが
国内盤の「Hell Awaits」は廃盤になってるんですね。
ぜひとも再発をお願いしたいところです。
関連記事:
→SLAYERがファイナル・ツアーを終了。その名盤を聴きなおす~「SHOW NO MERCY」編~
→思い出の名盤:スラッシュ・メタルの究極・・・SLAYER「REIGN IN BLOOD」!!