中学校のころに
「DEFENDERS OF THE FAITH」を聴いて以来、
私の中で最も重要なヘヴィ・メタルバンドであり続けた
JUDAS PRIESTのニュー・アルバム、
「FIREPOWER」を聴きました!
amazon.co.jp ファイアーパワー(完全生産限定デラックス盤)
ネット上でみるかぎり(雑誌はどうせ提灯レビューしか書いてないので見てないです)
ファンはおおむね好意的に受け止めているようですね。
私もこの数日間、聴き込みましたが・・
現時点での感想を。
シンプルでキャッチー、かつヘヴィな作品
ちょっと「Painkiller」を意識した?と思わせるトップの「Firepower」は
なかなかのカッコよさでオッ!となり、
そこから「Lightning Strikes」へなだれこむ流れは素晴らしい。
リード・トラックとして先に発表されていた「Lightning Strikes」
を聴いたときは地味な曲だな~と思い、
14曲入りということでこういうシンプルで短い曲ばっかりになるのかな、
と予想していましたが、聴き進めていくと・・・
その予想はかなりの割合で的中した感じでした。
「Evil Never Dies」「Never The Heroes」
「Necromancer」「Children of the Sun」
とヘヴィでキャッチーな曲が続き、
う~ん・・・これはこれでカッコいいけれど、
長尺で荘厳な曲がほしいなあ・・・
と思ったところでもの哀しいインストの「Guardians」がはじまり、
そのままドラマティックな「Rising From Ruins」につながります。
現時点ではこのアルバムのハイライトはここだなあと思ってます。
これこれ、やっぱPRIESTにはこういうのをやってほしいんだなあ~と
嬉しくなりました。
「Flame Thrower」のように若干軽めの曲や、
最後の「Sea of Red」のようなバラードなどもありますが、
基本的にはヘヴィかつキャッチー、シンプルな曲が大半。
私好みのドラマティックで大仰な曲は少ない。
ヘヴィなリフの上に
中音域で唸るようなロブのヴォーカルが
キャッチーなサビをのせるという曲が多いですね。
曲のシンプルさから「BRITISH STEEL」っぽい・・という
気もしてきますが、
ヘヴィさをことさらに意識したかのよう(に、私には聴こえる)なリフと
キャッチーなサビ、というこのスタイルは、
どちらかというとFIGHTみたい。
ロブ・ハルフォードが90年代に一時JUDAS PRIESTから離れたときに結成したバンド、
FIGHTの1stアルバム「WAR OF WORDS」は不当に低く評価されている隠れた名盤 !
「Into the Pit」でのロブのハイテンションな金切りヴォーカル、
そこから間髪入れず続く「Nailed to the Gun」のリフのカッコよさは鳥肌モノでした!
私はこれが大好きだったので、
FIGHTっぽいのは全然気にならないのですが、
FIGHTと全然違うのはやはりロブのヴォーカル。
「FIREPOWER」では、ハイ・トーンが出ないので中音域でウネウネしているような感じで、
サウンドはヘヴィなんだけれど曲自体に突き抜けたパワーはあまりない。
突き抜けるようなパワーがないから、
思わずゾクっとするようなキラー・チューンは見当たらなかった、
というのが正直なところです。
PRIESTになにを求めるか、で評価が分かれるかも
前作「REDEEMER OF SOULS」は、
ドラマティックで大仰なPRIESTらしい曲が多くて
曲自体は私好みだったのですが、
ロブのヴォーカルがそれを活かすことができなくなっていました。
タイトルトラックの「Redeemer of Souls」や、
「Halls of Valhalla」なんかも、
もしロブが全盛期の音域を駆使して歌っていたら
百倍はカッコよくなったんじゃないかと思える。
それが歯がゆくて、「REDEEMER OF SOULS」はイマイチ好きになれなかった・・
のですが、今回の「FIREPOWER」では、
ハイ・トーンを駆使したドラマティックな曲はキツイから
シンプルなメロディで中音域をウネウネするヘヴィな曲というスタイルをとったんじゃないの、
というのは穿ちすぎですかね。
しかしまあそれも悪いこととは言えない。
金切り声でシャウトしなくても
ロブはさすがにカッコいいし、
高音の出ないロブがムリして頑張ってる、というふうに感じさせない
楽曲のクオリティは高い。
「ロブヴォーカルの劣化が残念」とは言わせない、感じさせないだけのものがありますね。
JUDAS PRIESTに対してどんなサウンドや曲を求めるのか、
それによってこの作品の評価はかなり変わってくるのでは。
「BRITISH STEEL」や「POINT OF ENTRY」が好きな人や
「ロブが歌っていればそれがPRIESTなんだよ」
という人にはとても素晴らしいアルバムではないでしょうか。
私は荘厳で勇壮でドラマティックなPRIESTが聴きたいので、
今作はいまのところ
「Firepower」「Rising From Ruins」「Sea of Red」
などが気に入りましたが、
全般的には
「高品質なメタルではあるけれど、私が聴きたいPRIESTではない」
といったところ。
あと、ギターソロがやたら地味なのは、
グレン・ティプトンの病気(パーキンソン病)の影響でしょうか。
なんかどの曲のソロも、
「アレっ?これで終わりなの?」みたいなのばっかりなんですよね。
そういうわけで、
「こりゃあ凄い!当分の間はこれがヘビロテだぜ・・・」
というほどではないにしろ、
カッコいいメタル作品であると感じました!
グレンの病気は心配なところですが
(ツアーでは今作のプロデューサーをつとめたアンディ・スニープがグレンの代わりを務めるらしい。でも、ファンは「それならKKダウニングに頼めばいいのに・・」と思うんじゃないでしょうか)、
各メンバーとも年齢や病気に負けずに(リッチー・フォークナーはともかく、スコット・トラヴィスもすでに50代半ば、ロブとイアン・ヒルは60代、グレンに至っては70歳)
いつまでも頑張ってほしいです!