昭和42年に茨城県で起きた強盗殺人事件、いわゆる「布川事件」で無期懲役判決を受け、29年間も拘束されたすえに仮出所となり、その15年後に再審で無罪となった桜井昌司さんが直腸がんで死去されたとのこと。心よりお悔やみ申し上げます。
→NHK NEWS WEB 「布川事件」再審で無罪確定 桜井昌司さん 死去 76歳
確たる証拠もないのにやってもいない事件の犯人に仕立て上げられ、捜査機関の意地やメンツのために人生を台無しにされるというのはいったいどんな気持ちなんだろう、とその心情を想像する能力が少しでもありさえすれば、国会議員や官僚は寝る間も惜しんで司法の改革に取り組むはずだし、我々国民もそのために一生懸命働くような議員を選挙で選出するのが当然なはずなんですが、残念ながらどれだけ冤罪事件が明らかに(そして明らかになってない冤罪事件も当然たくさんあるはず。ないと考えるほうがどうかしてる。それこそまさに「脳内お花畑」というべきでしょう)なっても国民のあいだに「冤罪許すまじ」という機運は盛り上がってこない。すると当然政治家もそのために働こうとしない。票にならないから。票とカネにならないことは一切やらないのが日本の政治家。するとこんな冤罪事件が起こってしまうのは我々国民の程度が低いから、ということになるわけだ。
時代劇なんかでは第三者の目撃証言やたまたまそこに落ちていただけの証拠物だけで犯人を特定し、その結果善人が役人から拷問を受け自白させられ冤罪がでっちあげられる・・・みたいな話が非常によく出てきますね。ふつうはそれを見てアホな役人に対して「この無能!」と怒りをおぼえたりすると思うんですが、科学的な捜査が発達し、そのうえ人権意識が(少なくとも江戸時代以前よりは)向上しているはずの現代においても同じようなことが起こっている。時代劇はつくり話、昔の話であって今はそんなことない・・と思うならそれは大間違い。
と、「今も昔も同じ。進歩してない」といっても、江戸時代以前ならばお上のやることなすことに文句をつけることは許されなかったのに対し、現代はそうじゃないですね。先述のようにこういう問題に対して一生懸命働く政治家をきちんと選び、働かない奴は議員になれない、というふうに持っていくことで司法が改革されれば、布川事件のような信じられないような冤罪事件が起こることはなくなるはず。そして犯罪報道にふれたときも決してそれを鵜呑みにせず「証拠が自白だけ?じゃあダメじゃねえか」「証拠が状況証拠だけ?それで有罪とかふざけてるの?」というふうに冷静に見る目を養うようにしたいものです。マスコミの奴らは感情に訴えかけて「極悪人許すまじ!」と煽ってカネもうけにつなげたいだけですからね、そういう奴らの口車にのせられてはいけない。警察発表に対しても報道に対しても、いつでも「ほんとうか?」という姿勢でふれるべきでしょう。
DOOMSWORD「RESOUND THE HORN」
イタリアのエピック・ドゥームメタルバンド、DOOMSWORDの2作目(?)。2002年作。
予備知識なしに中古盤を購入。ジャケ絵から想像されるような、仰々しいエピック・メタルを期待しましたが・・・
たしかにエピカルなメタル。ちょっとドゥーミーな味もまぶされている。MANOWARみたいなリフでゆっくりと淡々とすすんでいく。以前にべた褒めしたデンマークのALTAR OF OBLIVIONをちょっと思い出しました。
パワー・コード主体のシンプルなリフが中心で、そのうえヴォーカルも平板で歌メロにダイナミックさがないので、ちょっと同じような曲が多いな~と思ったんですが、5曲目ではいきなりY&Tの「Forever」みたいな、長尺ギターソロを含むハードロック曲が飛び出してきたりして面白い。
目立ってスゴイ曲はないけれど、これはなかなか味のある作品。繰り返し聴こうという気にさせられる。ほかの作品も買ってみよう。おススメ度は個人的好みで☆ひとつ分追加してコレ。
おススメ度・・・★★★★
MY OWN GRAVE「NECROLOGY」
スウェーデンのデスラッシュバンド、MY OWN GRAVEの2作目。2009年作。
こういう読めないバンドロゴはデスラッシュ系にありがちだけど、やめたほうがいいと思うなあ~。あっちの人たちはふつうに読めるんだろうか。
まあ重要なのは音だから・・・ということで聴いてみますと、
なかなか刺激的なデスラッシュ。ヴォーカルはほかに同じような人がいくらでもいる感じで個性もヘッタくれもないけれど、スタイルとしてはVADERあたり(リフやギターソロはほとんどそのまんま。影響されているのは間違いなさそう)に近い感じで個人的には好きなタイプ。
緩急を心得た曲展開は完全破壊の快感をおぼえさせてくれてかなりカッコいい。しかし先述のようにヴォーカルが没個性なのと、聴かせるところやキャッチーなところがもうちょっとほしいかな、というところが不満かも。聴いてる間は心地よい疲労感で気持ちいいけれど、聴き終わるとあんまり記憶に残らない。ほかの作品はどうなのかな。
おススメ度・・・★★★☆
AD PATRES「SCORN AESTHETICS」
フランスのデスメタルバンド、AD PATRESの1st。2012年作。
こっちも一見してなんだかよくわからないジャケット絵とバンドロゴ。不気味さを演出したくてこうなるんだろうけど、そこはインパクトとわかりやすさのほうが大事だと思うんだけどなあ。CANCERの「TO THE GORY END」なんて音はまったくたいしたことなかったのにジャケットのインパクトだけである意味名盤になってますもんね。
まあジャケのインパクトがなくっても音がキョーレツであってくれればそれでよいので。このバンドはどうかというと・・・
KRISIUNあたりを彷彿とさせるブルータル・デスメタル。すさまじい演奏力とブルータリティで一気に聴かせる。
ハイクオリティなデスメタルであることは間違いない・・・でも、「あの曲をもういちど聴きたい」とかいう衝動に駆られることはちょっとなかった。KRISIUNあたりはどの作品でもそういう曲がたいていはあって、そのへんが超一流デスメタルとそれ以外をわける境界になってくるわけだ。メロディを排した音楽で同じようなことをやってる他者とどう差別化するかっていうのはほんとうに難しいことなんだなあ。でもアルバムを買う価値はあるバンド!
おススメ度・・・★★★☆