令和への改元があり、
じゃあ平成への改元のころに私が聴きまくっていたメタル名盤の話を・・・
と思って→平成初期のころ聴きまくっていたメタル名盤をふりかえってみる。その①
の記事でRUNNING WILDの作品について書きました。
その流れで今回は、
1980年代に活動していたアメリカ・シカゴのスラッシュ・メタルバンド、
ZNÖWHITEの作品を紹介したい。
またまたマイナーなバンドですが・・・
これがカッコいいんだあ~。
「ACT OF GOD」は80年代スラッシュ屈指の名盤
ZNÖWHITEは1982年ころに結成され、
3枚の音源を残しています。
先の2作はミニ・アルバムで、内容はとくに褒められるようなものではなかった・・
のですが、3作目、初のフルレンス・アルバム、
1988年発表の「ACT OF GOD」でいきなりものすごくカッコよくなっちゃった。
ヴォーカルのニコル・リーは女性。
CHASTAINのレザー・レオーネかDOROのドロ・ペッシュのような声で、とにかくアグレッシヴ。
いまは音楽活動はしてないのかな?
そのアグレッシヴなヴォーカルが、ときおり哀愁をふくんだメロディを歌い上げる。
そのバックでEXODUSを彷彿とさせるザクザクしたリフが超高速で刻まれ、
これまたときには哀しげなメロディを奏でる。
こういうの大好物なんですよね。
戦う男の(歌ってるのは女だけどそんなの関係ない)哀愁がメロディのなかにあふれている。
歌詞もそんな感じのが多い。
I cannot, I shall not, I will not・・・・obey !!!!
とか、
To the last breath, I shall fight
To the last breath, no compromise
To the last breath, I will not sleep
Pain without end ・・・!
とか、もうとにかく「やるか死ぬか」みたいなのばっかり。
軟弱さは欠片も感じられない。
ドラムスはつねに走り気味で不安定さが感じられるときもありますが、
そんなことはどうでもいい。
スピードとアグレッションとメロディがみごとに共存した素晴らしいスラッシュ・メタル。
5曲目(A面ラスト)の「Thunderdome」は
歌詞からしておそらくは1985年の映画「マッドマックス サンダードーム」(「マッドマックス」シリーズの3作目)
をモチーフにしていると思われますが、
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ZNÖWHITEの音世界はまさに「マッドマックス」で描かれていたような、力だけがすべての荒涼とした世界を想起させます。
ボケっとしていると後ろからナタで首を切り落とされそうなスリリングさ。
スラッシュ・メタルはこうでなくちゃダメ。
ギターのリフも曲展開もかなりワンパターン、といえばたしかにその通りなんですけど、
だからどうした。
カッコよければワンパターンだろうがそんなことはどうでもいい、といういい例ですね。
いつも言うが・・スラッシュ・メタルは速くてカッコよければそれでいい。
大学生になったばかりのころにこの作品を中古盤店で手に入れた私は、
ファストでアグレッシヴななかに哀しげなメロディを持ち合わせる
このアルバムが心の底から大好きになり聴きまくっていました。
それがちょうど平成に改元したころでした。
しかし残念ながら、ZNÖWHITEは「ACT OF GOD」アルバムを最後に消えてなくなってしまいます。
このアルバムで抜群のメロディ・センスを発揮していた、
このバンドのコンポーザーであり中心人物のギタリスト、イアン・タフォーヤは
その後CYCLONE TEMPLEというバンドを結成、
そちらも悪くはなかったのですが、
「ACT OF GOD」と比べちゃうと・・・つまらなかった。
トータル的な完成度でいえば後年のCYCLONE TEMPLEの作品のほうが上回っていたかもしれません。
演奏力も音質も向上していたし。
でも、スラッシュ・メタルでもっとも重要なのはそこじゃないんですよねえ。
私は、スラッシュ・メタルは速くてカッコよければそれでいい・・と思っていて、
その「カッコいい」っていうのは演奏が上手いとか音質がどうのこうのということとは別の次元の問題なのです。
その理屈でいえば、
「ACT OF GOD」はまさしくスラッシュ・メタルの魅力を体現した大傑作アルバム・・と断言したい。
現在は入手困難のようですが・・・
ぜひとも再発していただきたいし、
中古盤店でみつけたら即ゲットすることをおすすめしておきます!