「演歌の女王」と呼ばれた国民的歌手、八代亜紀さんが昨年12月30日に急逝。心よりお悔やみ申し上げます。
体調を崩して活動休止、というところまではきいていたものの、まさか突然こんなことになるとは・・・と驚いた。人間とはいつどうなるかわからないもの、だからこそ一日一日を大事に過ごさなければならないんだなあ、と訃報に触れるといつも思います。
八代さんのヒット曲は数多いですが、個人的にもっとも思い出深いのは「雨の慕情」。
この曲がヒットした昭和55年、私は小学生。家には歌が好きだった両親が買ったカセットテープのカラオケセットがあって、父が酒飲んで機嫌がいい夜には家族でカラオケに興じていました。
そんななかで、今は認知症を患って特別養護老人ホームで暮らしている母がよく歌っていたのがこの曲。猛烈にヘタクソだったけれどなぜかその歌声は耳にこびりついています。
イントロは哀愁あふれてるんだけど歌メロはちょっと明るめ、それを歌う八代さんの歌声はジメジメに湿っていながら軽やかでわりと前向き、いちど聴いたら必ず覚えちゃう超キャッチーなサビ。それとこの曲には欠かせない、私の母もマネしてた雨乞いするような振り付け・・・とすべてが印象深くて一言で言い表すのは不可能なスゴイ曲。こんな曲がゴロゴロあったんだから昭和っていう時代はやっぱり素晴らしかった。
なにより、一流の歌手はみんなそうだけれど、一瞬聴けばどんな曲を歌っても絶対に「あ、八代亜紀」とわかる圧倒的個性がスゴイ。その個性が好き嫌いの別れるところになるでしょうが、それだけにその味にハマってしまえばもはやその歌声への依存から抜け出せなくなる。昭和の巨星がまたひとつ落ちた。残念至極。
八代亜紀・鶴岡雅義と東京ロマンチカ「女優シリーズ Vol.10 香山美子のナレーションで綴る 旅情演歌」
テイチクレコードから出ていた(オリジナルがいつ出たのか調べましたがわからなかった)、さまざまなテーマにそって選曲された名曲を名だたる大物女優のナレーションにのせておくるコンピレーションアルバム。このシリーズ以前何枚か所有していたんですが売却してしまったので現物が手元になく詳細が確認できません。今回は八代亜紀さんの訃報を受け、デジタルで保存してある音源を再視聴。
ネットでさがしてみるとなかなか入手困難になっている模様。売るんじゃなかった・・・と後悔してます。というのは、どれもこれもほんとカッコよかったんですよ。哀しみをたたえた女優のナレーションにこれまた哀しげなイントロがかぶさって曲がはじまるのがたまんない。令和の曲がつまらないのはイントロがないからっていうのも理由のひとつだと痛感させられる。
このアルバムもシリーズの例にもれず素晴らしい。鶴岡雅義と東京ロマンチカが2曲(「小樽のひとよ」、「旅路のひとよ」)、八代亜紀さんが5曲(「霧の摩周湖」、「知床旅情」、「襟裳岬」、「長崎は今日も雨だった」、「中の島ブルース」)。鶴岡雅義と東京ロマンチカの哀愁のレキントギターは最。そして八代さんの歌唱はものすごく若々しく力強くハリがある。独特のハスキーな味はもちろんあるが晩年ほどではないですね。これはいつの録音なんだろう。公式チャンネルに(たぶん)同じ音源があったので貼っておきます。
カッコいい。八代さんの音源はシングルをいくつかとベスト盤しか所有してないので、それ以外もこれを機会に買い集めてチェックすることにします。
おススメ度・・・★★★★☆
EMBRACE OF SOULS「THE NUMBER OF DESTINY」
イタリアのメロディック・パワーメタルバンド、EMBRACE OF SOULSの1st。2021年作。
Amazon.co.jp Number Of Destiny
中心人物はドラムの人らしい。ヴォーカルにはRHAPSODY OF FIREの人が参加している。
そのRHAPSOPDY OF FIREばりのシンフォニックなメロパワ。テクニカルなギターはかなりカッコいい。
しかし、このタイプのサウンドはあまりいっぱい聴いてない私は「RHAPSODY OF FIREとなにが違うの?」って訊かれるとちょっと返事しようがないかな、という気がする。ヴォーカルが素晴らしいし曲も悪くないのでメロパワファンでなくとも買う価値はアリだとは思うけど、個性的だったりとびぬけてカッコいい曲があったりはしない。たまに聴かせるクッサいメロディのギターソロがもっといっぱいあったらよかったな。
おススメ度・・・★★★
MYTHOLOGICAL COLD TOWERS「IMMEMORIAL」
ブラジルのエピック・ドゥーム/デス・メタルバンド、MYTHOLOGICAL COLD TOWERSの4作目(?)。2011年作。
1曲目がメロデス期のAMORPHISを彷彿とさせる荒涼とした凍てつくドゥーム・デスで、絶望感が支配するそのサウンドの雰囲気はなかなか。予備知識がなかったら南米のバンドだとは絶対に思わない寒々しさ。イイですね。これで身をよじりたくなるような哀愁のメロディが満載だったらスゴイが・・・
う~ん、1曲だけ聴くといいんですけどね、なにしろ全編同じような調子の曲ばっかりなんですよねえ。さっきも言ったようにこの絶望サウンドのなかに胸に突き刺さるようなメロディがあれば・・と期待したもののそれも別にない。いやよく聴くと「ちょっと違った曲もやってます」感を出してる曲もあるけれど、ヴォーカルがテキトーだから全部同じに聴こえてしまう。ドゥームだろうがやはりキャッチーさを出すことを少しは意識してほしい。とはいえ、このテのサウンドのマニアなら買って損はないかも。
おススメ度・・・★★★