NHKが年末恒例の「紅白歌合戦」について、ジャニーズ事務所所属のタレントの出場をゼロにするかも、という発表をしましたね。
まあこれは「いままでどおり」か「ゼロ」にするしかないでしょう。ほんとうは使いたいんでしょうが現時点では「いままでどおり」にする理由をみつけられないから仕方がないでしょうね。
昔の芸能界はヤクザのような反社と関係しているのが当たり前で、今もそれはゼロではないんだろうけれども、たとえば全国民が「あの事務所はヤクザと深い関係がある」と認識しているような事務所、それが明らかになったような事務所とおおっぴらに取引することは今はできないしするべきではないでしょう。そう考えれば、身の毛もよだつような性犯罪の巣窟だった事務所とは取引しない、というのは当然と思える。
そのへんはいろいろな意見もあるようですが、個人的に紅白にかぎらずジャニーズタレントがいろんなところから駆逐されるのは(少なくとも音楽の面では)喜ぶべきことと思ってます。→続:ジャニーズ事務所の弱体化で芸能界は変わるのか。 才能ある作曲家がすばらしい曲を提供していた昭和時代のジャニタレはともかく、今となってはその曲もクソばっかりだし。退屈な曲で学芸会みたいな踊りを見せられる事態が減るかもしれないってのは嬉しいかもしれない。
ジャニタレを起用できない→安直なバラエティ路線では場組がつくれない、となって、じゃあやっぱり「歌」をちゃんと聴かせる番組に立ち返ろうよ、となってくれないものだろうか。しかしジャニーズが使えないとなったら秋元康プロデュース系だのK-POP系だのを増やすのかな。そうなったら元の木阿弥。
どんな番組も同じだけど、ジャニーズだの○○坂だのK-POPだのを起用するのはいいとしても、そのパフォーマンスに高い受信料を払っている国民にみせるだけの価値がほんとうにあるのかどうか、放映する前に考えてほしい。ドラマだのバラエティだのならともかく歌に関してはほとんどゴミ同然、というのを知りながら若者に見てほしいからという理由で使い続けてきた結果、まともな歌を聴きたい層が離れた。そのうえ若者はネットに行っちゃってテレビなんぞ見なくなって、歌番組を誰も見なくなってしまった。
紅白からジャニーズタレントを駆逐するのはけっこうなことですが、そこから先どうするのかに注目。受信料を払っている我々は、「この機会に紅白をまともにみられる番組に変えろ!」と言い続けなければならないでしょう。
テレサ・テン「夜の乗客/女の生きがい」
「アジアの歌姫」と称される伝説的歌手、故テレサ・テンの日本での2枚目のアルバム。1975年作。
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LPレコードの意匠を忠実に再現した紙ジャケ仕様のCDの再発盤を入手。
ベスト盤やカバーアルバムなどはたくさん聴いたんですけどね、オリジナルアルバムについてはあまりチェックできてない。この2作目も聴くのは初めて。
12曲収録で、LPでのA面となる6曲がシングル曲及びそのC/Wの曲、B面がカバー曲となっています。
日本デビュー曲「今夜かしら明日かしら」みたいなアイドル路線の曲はナシ。ムーディな「夜の乗客」から始まり、全編アダルトでダークな歌謡曲で埋められています。可憐で透明感がありつつもしっとりとした湿り気を帯びた歌声はこの時点ですでに完成されている感がありますねえ。
カバー曲も全曲素晴らしいが個人的聴きどころは「旅愁」かな。おさえつけられた女の哀愁がいままさにあふれ出そうになってる、っていう趣のメロディが胸をうつ、西崎みどりの名曲。いろんな人がカバーしてますね。
どんな曲をやっても「テレサ・テンの曲」になっちゃう圧倒的個性は永遠に色あせないし、並ぶものは永遠に出てこないだろうと思わせる。こういう作品のCDが廃盤だったりするから「CDが売れない」とかいうことになる。レーベルは全作品を手軽に手に入るようにしてほしい。
おススメ度・・・★★★★☆
MORTILLERY「MURDER DEATH KILL」
カナダのスラッシュ・メタルバンド、MORTILLERYの1st。2011年作。
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「Murder Death Kill」をはじめとして、ほかの曲にも「Sacrifice」だの「Evil」だの「Suicide」なんていう、いかにもB級スラッシュっていう安直な言葉がちりばめられていて、こりゃあ気持ちのいい脳筋スラッシュが期待できそう!と迷わず買いました。
ヴォーカリストとベーシストは女性。そのヴォーカルが、レザー・レオーネやドロ・ペッシュあたりをもう少しダーティにしたような感じで、その強靭かつアグレッシヴな歌唱はなかなかの迫力!
曲のほうはというと、それもなかなか個性的。ハードコア・パンク風味が適度に混ぜ込まれたオールドスクールなスラッシュ・メタルというべきか。
○○に似ている、という言い方をするなら、TOXIC HOLOCAUST、曲によっては初期のWHIPLASHあたりかな、という印象をもちましたが、なかなか一言では言い表せないサウンド。しかし「どっちつかず」「なにがしたいのかよくわからない」という印象はまったくないし、どこまでも小細工なし、ストレートにスピードとアグレッションをたたきつけてくれる! でもただの「脳筋スラッシュ」とは感じさせない。これはカッコいいよ!
それになにより、強力なヴォーカルが(もちろんメロディは希薄だけれど)ちゃんと歌っているのがいいね。こういうのを聴くとデス声っていうのはやっぱり限界があるし安易にそれを使うバンドが多いからメタルは斜陽になった、と痛感する。
さらに歌メロは案外キャッチーだったりもして、そこかしこに耳に残るフックがある。これまで知らずに損した、と思わされるバンド!ほかの作品も買わなくては!
おススメ度・・・★★★★
THE FORSAKEN「TRACES OF THE PAST」
スウェーデンのデスラッシュバンド、THE FORSAKENの3作目。2003年作。
聴く前に曲のタイトルをみたら本編の最後に「Blackened」とあって、どうやらあのMETALLICAの歴史的サイテー駄作「...AND JUSTICE FOR ALL」に入ってたあの曲のカバーらしい。よりにもよってその曲なのかよ。まああくまでもオマケだろうからどうでもいいけど、ああいう小賢しく回りくどい曲をやるタイプのバンドなのかな・・と嫌な予感。
その予想はだいたいにおいて当たってた。う~ん、演奏力はスゴイし、カッコいいリフもあるし、クオリティが高いのは間違いないんだけどなあ。思い付きのリフを次々につなげてその上にテキトーデス声をのっけました、っていう感がどうしてもぬぐえない。もうちょっとヴォーカルラインにキャッチーさをもたせるとかしてほしい。スウェーデンという国のメタルの層の厚さを考えるとこの程度では本国では中の下っていうくらいのものじゃないだろうか。
ちなみに「Blackened」のカバーはブラストしてみたりしてるところ以外はだいたいオリジナルそのまま。原曲がクソなだけにべつに特に言うべきことはないです。
おススメ度・・・★★★