私がまだ純粋だったころに感化された名盤の思い出を勝手に語る記事の続きです。
前の記事 ヘヴィ・メタルとはなにか、を思い知らされた名盤～「DEFENDERS OF THE FAITH」/JUDAS PRIEST～
で、中学生だった私が、JUDAS PRIESTを聴いてからは、
当時流行っていたアメリカのいわゆる「LAメタル」が急につまらなくなった・・・
という話を書きました。
しかし、アメリカのメタルなんてつまらん・・・
と思っていた当時の私でも、
コイツはカッコいい・・と思って好きだったバンドもいくつかあります。
そのなかのひとつが、MALICEというバンド。
MALICE MIZERじゃないですよ。MALICE。
1985年のデビュー・アルバム
MALICEは、1980年に結成されたというアメリカ（たしかオレゴン州あたり）の
ヘヴィ・メタルバンド。「LAメタル最後の大物」というふれ込みどおり、
いわゆる「LAメタル」ブームが終焉のころにレコード・デビューしました。
メジャー・レーベルからのデビューにこだわったために
デビューが遅れた・・・と言われており、
超メジャー・レーベルのアトランティックから発売されたのがこの
「IN THE BEGININNG...」。
これが出た当時、私は高校に入ったか入らないかくらいのとき。
まだまだメタル経験値は少なかったのですがそんな私でも、
この作品はほかのLAメタルバンドとはまったく違う、
超硬派、およそアメリカらしくない湿った男らしさプンプンの、
ほんもののヘヴィ・メタルであることはわかりました。
サウンドも曲もめちゃめちゃヘヴィ。
そしてヴォーカルはロブ・ハルフォードばりのハイトーンながら
一聴してそれとわかる個性も持ち合わせていました。
トップの「Rockin' With You」のヘヴィさに、イッパツでKOされます。
「Squeeze It Dry」みたいな、いかにもライヴでのシンガロング用って感じの
明るい曲もあるにはありますが、それすらもなんかJUDAS PRIEST臭が漂っていて、
アルバム全編とにかくヘヴィかつキャッチーな曲が続きます。
で、ガキだった私が心底「カッコいい・・・」と震えたのは
B面3曲目の「No Haven For The Raven」。
↑動画には途中ノイズが入っていますがオリジナルにはないものです。
徐々に徐々に盛り上がっていくあまりにもドラマティックな曲。
いま聴いてもまったく古臭さは感じないし、
重いギターとグロウルで凄めばそれがメタル、
と思っている現代の若いバンドには
絶対にマネできない男らしさ、硬派さを感じさせます。
しかし、ほかのLAメタルバンドのような華やかさは皆無ということで、
やはりあまり売れなかった。
どんな世界でもいいものが必ず経済的に価値があるわけではないというところが
世の中の常です。
売上を気にしたか、もしくはレコード会社からなにか圧力があったか、
1987年の2枚目のアルバム「LICENCE TO KILL」では
欧州寄りの徹底したヘヴィ・メタル色は若干薄れました。
しかしそれでも決して売れ線、ポップになったというわけではなく、
ある意味B級っぽさがなくなった、ともいえる感じで、
個人的にはすごく好きでした。でもやっぱり売れなかった。
↓はそのアルバムのトップに収録されていた曲。カッコいい。
バンドの中心人物であるギターのジェイ・レイノルズは
その後MEGADETHに入ろうとしたり
METAL CHURCHに加入したり（こちらではカッコいいプレイを聴かせてくれていた）
して、現在はMALICE名義でまだ活動しているようですが
よくわかりません。
ともかく、若かった私は「IN THE BEGININNG...」と
出会ったころから、ヘヴィ・メタルらしいヘヴィ・メタルがもっと聴きたい、
という欲求がどんどん強くなり、
いわゆるLAメタルといわれるバンドの大部分のもつ
ポップさ、軟弱さ、能天気さが完全に嫌いになって、
よりエクストリームでよりダーク、よりピュアなメタルを
もとめるようになっていきました。
LAメタルについてはもうひとつ、
LIZZY BORDENという遅れてきた大物、
ものすごく好きだったバンドもいた（いまでも活動してるらしいけど）
ので、そちらについても今度書いてみます。