言わずと知れた世界トップのヘヴィ・メタルバンド、IRON MAIDENの名作をふりかえる記事の続き。
中学生の私が当時の最新作だった5作目の「POWERSLAVE」を皮切りに「PIECE OF MIND」「THE NUMBER OF THE BEAST」とさかのぼって聴いたところまで書きました。
→本格的にメタルへの目覚めを呼び起こされた名盤~「POWERSLAVE」/IRON MAIDEN~
→思い出の名盤:IRON MAIDEN「PIECE OF MIND」
→思い出の名盤:IRON MAIDEN「THE NUMBER OF THE BEAST」
となれば次はもちろん、1981年発表の2ndアルバム、「KILLERS」。
ヘヴィ・メタルを語る上では絶対にハズせない、「これ聴いてカッコいいと思わないならメタルは諦めろ」と言うしかない、まさに名作中の名作。それだけに語りつくされ、私ごときが今さらなんだかんだ言う必要もないと思いますが、私にとってももちろん棺桶に入れてもらうことが確定している大好きな作品。ここでその思い出を書いておきましょう。
人生において「ここぞ」というときに必ず聴くことになったアルバム
このアルバムからデニス・ストラットンに代わって新たなギタリスト、エイドリアン・スミスが加入。ヴォーカルのポール・ディアノはこのアルバムを最後に解雇。長いこと「6人目のメンバー」(昔のメイデンは5人編成)と言われた故マーティン・バーチが今作からプロデュースを手掛けることに。
当時の私はメタル初心者のガキであり、プロデューサーが誰とかギタリストが誰とか言われてもその違いは分からなかった。しかしポール・ディアノのヴォーカルは先に聴いていたブルース・ディッキンソンとはまったく違うという話は聞いていたので、そこはどんな感じなんだろう・・とドキドキしながら、いつも使っていた貸しレコード店「友&愛」のレジにこのアルバムを持っていきました。
レコードに針を落としますと、「Aces High」を初めて聴いたときと同等、いやそれ以上かもしれない衝撃を受け悶絶。メタル史上最高の序曲のひとつと断言できる、「The Ides Of March」が始まります!
いつ聴いてもカッコよすぎる。これのせいで一生メタルから離れられない体になってしまった。メタル以外の音楽では体験できない感動につつまれ、ステレオの前でひっくり返った。
それに続く「Wrathchild」。デレデレデンデレ・・というベースでもうやられちゃうけど、序曲の次は速い曲を期待してた当時の私は「あれ?速い曲じゃないんだ」と。
しかし聴き進めると、速くなくてもあふれ出るそのアグレッションに圧倒され、「カッコいい~!」とシビレまくりに。
「The Ides Of March」~「Wrathchild」の流れにとにかくシビレた私は、その後人生の大事な場面、ここぞという日の「さあいくぞ!」というときにそれをデカい音で聴いて自分を鼓舞するのが決まりになりました。学校の受験のとき、女の子を今日口説き落とすぞ!というとき、仕事での大事なイベントの日の出勤時など。だからこれを聴くと人生のさまざまなシーンが脳裏に蘇ってくるのです。
続く「Murders In The Rue Morgue」も大好きな曲。ドラムも含め全楽器が一体となってズドドドドって突っ走るなかにキャッチーで聴かせるフレーズが満載。当時の私はまだガキで、とにかく速い曲が聴きたかったので、このやかましさ加減がたまらなかった。そこにのるポール・ディアノのヴォーカルはド迫力。
速くてやかましい、でも聴きどころたっぷり、っていう意味では「Killers」ももちろん好き!この曲はポール・ディアノの魅力が全開!
「Purgatory」なんかも最高でしたねえ。いまの感覚で言えばべつにエクストリームじゃないけど、当時の私にはこれはもうほとんどヤケクソ気味に聴こえるくらいのアグレッションだった。あらためて聴くと、こんなシンプルな疾走曲もやってたんだなあ~、と感心しちゃう。この原点に戻ってくれないかなあ。10分以上の曲がアルバムにいくつもあるとか、そんなのいらないよ。
イイなあ。この押して押して押しまくる感じ、これぞメタルでしか味わえない魅力ですなあ。
いっぽうで「Prodigal Son」みたいなしっかり歌メロを聴かせてくれる曲もあったりで、このへんのバランスには抜かりがなかった。ガキだったころはこの曲あまり好きじゃなかったんですけどね、今聴くと「やっぱMAIDENってスゲー」となる。「悪魔の魔法」っていうダサすぎる邦題はなんとかしてほしかったですけどね。
年月を経て聴きなおすと新たな発見をしたり以前とは違った感情が湧き上がってきたり、そんな作品こそが「名盤」と呼ぶに相応しいんだな。
私も人生が半分以上終わり、「The Ides Of March」を聴いて「さあやるぞ!」と気合を入れるような人生のイベントはもうあんまりないかもしれませんが、死ぬまで聴き続け、そしてあの世でも聴きたい名作!死ぬまでのあいだにそういう作品にあといくつ出会えるのかなあ。