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MEGADETHの最高傑作は、誰がなんと言おうと・・・

USスラッシュ・メタルの「BIG4」と呼ばれる(呼ばれた)バンドたちについて、これまでにSLAYERとMETALLICAについては書いたことがあります。

いわゆる「BIG4」、つまりSLAYER、METALLICA、MEGADETH、ANTHRAX。私も中高生だった80年代には彼らのアルバムを一生懸命聴いて、そのおかげでスラッシュ・メタルにズブズブにハマっていきました。とくにSLAYER、METALLICAから受けた衝撃は大きかった。SLAYERの「HELL AWAITS」やMETALLICAの「RIDE THE LIGHTNING」を聴いてなかったら、生え際の後退したオッサンになった今に至ってもメタルを聴いてるようなことにはならなかったかもしれない。

思い出の名盤:スラッシュ・メタルとの出会い・・「HELL AWAITS」/SLAYER

METALLICAの「ブラック・アルバム」が発表から30周年。

で、そういえばMEGADETHについてはここには全然書いたことがなかったなあ、と思い当たりました。ちょうど先日、彼らの目下の最新作「THE SICK,THE DYING...AND THE DEAD!」を今さらながら聴いたんですよ。それがバンド初期を彷彿とさせる、マシーンのような無機質さを感じさせるスラッシュ・メタルになってて思いのほか良かったもんだから、

Amazon.co.jp ザ・シック、ザ・ダイイング…アンド・ザ・デッド!

ここらへんでMEGADETHの作品について思うことを書いてみようかと。といっても5作目以降はあまりまともに聴いてない。必然的に初期の作品の話になり、「最高傑作」はそのなかからチョイスすることになります。

MEGADETH初体験は「Rattlehead」

私がMEGADETHのサウンドに初めて触れたのは高校生のとき。まだメタル初心者で、SLAYERやMETALLICAを聴いて「スラッシュ・メタル」という(当時としては)超絶エクストリームな音楽があることを知り、「もっと速くてカッコいい曲が聴きてえ!」といろいろ聴こうとしていた時期でした。

しかし高校生の身でカネもない。貸レコード店にはマニアックなスラッシュ・メタルはなかなか入らない。バイトしてカネを得てレコード買おう・・とか考えていたころに見つけたのが、以前にも記事にした「SPEED KILLS~THE VERY BEST IN SPEED METAL~」と題されたコンピレーションアルバム。1985年のことです。

思い出の名盤:スラッシュ・メタルへの傾倒を決定づけられた名作コンピレーション~「SPEED KILLS~THE VERY BEST IN SPEED METAL~」

これは当時の私にとってまさに教科書、聖典となったアルバムでした。スラッシュ・メタルとはなんなのかを私にたたきつけてくれた。これに出会ってなかったら私のその後の人生におけるスラッシュ・メタルというものの位置づけはだいぶ変わったかもしれない。

で、MEGADETHがそのアルバムに提供していたのが、「Rattlehead」。1stアルバム「KILLING IS MY BUISINESS...AND BUSINESS IS GOOD!」に収録されていた曲。

 

↑これはリマスター音源。「SPEED KILLS」に収録されていたのはもちろんオリジナルのほうで、もっと音は薄っぺらくチープでした。オリジナルの妙なエコーがかかっていたヴォーカルはいかにも80年代メタルという感じで嫌いじゃなかったですが、そのプロダクションの安っぽさはメタル初心者のガキだった私にも気になるくらいでした。

当時の私にはこの曲はあまり刺さらなかった。いや、いま聴くと猛烈にクールな曲だと思いますけど、「SPEED KILLS」アルバムはほかの収録曲がとにかくキョーレツなのが多くて、相対的に印象が薄くなったのです。やはりSLAYER(「Evil Has No Boundaries(LIVE)」)とMETALLICA(「Fight Fire With Fire」)がダントツに凄かったし、CELTIC FROSTやEXODUSにも大きな衝撃を受けた。それに、私はとにかく速くてアグレッシヴな曲をもとめていたから、速いけれどテクニカルでブルータルさは希薄、音も薄っぺらかった当時のMEGADETHの曲が刺さらなかったのも当然でした。

後述する2作目「PEACE SELLS..BUT WHO'S BUYING!」を聴いたあとにこの1stを入手。その後ヘヴィメタル専門誌「BURRN!」ではこのアルバムについて40点台だか50点台だかをつけていたと知りました。あの雑誌のレビューはアテにできねえと当時から思ってた私もそればっかりは「まあ妥当」と納得した思い出があります。「Rattlehead」以外の曲はもっとつまらなかった。そういうわけで私にとってはこの「KILLING IS MY BUISINESS...AND BUISINESS IS GOOD!」はほとんど思い入れのない作品になりました。しかし・・・

傑作は数多くあれど、私が推すのはダントツでコレ!

1986年に発表された2作目「PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING!」。

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さっきも言ったように、最初に聴いた「Rattlehead」は印象が薄かったから、この2作目もそれほど期待してなかった。これと同じ年に出た(1986年ってほんと当たり年でしたねえ。この時代に高校生だった私は幸せだった)SLAYERの「REIGN IN BLOOD」やMETALLICAの「MASTER OF PUPPETS」は国内盤が出るのを待ちきれず輸入盤店に入ったのを知ってすぐにダッシュで買いに行ったけれど、このMEGADETHの2作目は国内盤が出てそれがレンタルレコード店に入ってから借りて聴いたくらいでしたから。

しかしそれは間違っていた。1曲目の「Wake Up Dead」で「おおっ?」となり、そのまま引き込まれ、何度も繰り返し聴き、「最高じゃないか!」となりました。

 

「Wake Up Dead」にかぎらず、どの曲も予測不能というか、どう展開してどのような落としどころになるのか、というのが最後までわからない楽曲ばかり。いつも言うように私はそういういわゆる「プログレッシヴ」なんちゃらみたいな、難しいことやってドヤア、みたいなメタルが大嫌いなので、これもそうなりそうなもの・・・なのですが、このアルバムではそうならなかった。曲が複雑だろうがシンプルだろうがメタルはカッコよければそれでいいんだ、というのを痛感させられる。

それに、複雑な曲構成でありながらそのリフひとつひとつをとってもすべてがキャッチー。「Wake Up Dead」にしても途中のフレーズをちょっと聴いただけでその曲だとわかりますもんね。

そのキャッチーさが最高に発揮されてたのが、3曲目のタイトルトラック。

 

う~ん、これは今聴いてもすさまじい完成度の名曲と唸らされる!これほど才能のある人をクビにするなんてMETALLICAはアホだなあ、と本気で思いましたねえ。印象的なイントロのフレーズは途中でスピードアップしてリプライズすることによって完全に耳にこびりつく。そして怨嗟のこもるような、皮肉をこめるような、はたまた呪文のような「Peace sells...but who's buing?」の連呼で曲はクライマックスへ向かっていく。完璧ですなあ。

 

とにかく速さとアグレッションをもとめていた私には、MEGADETHの提示した「インテレクチュアル・スラッシュメタル」はEXODUSやSLAYERのようなまさに音の凶器ともいえる凶暴さはないという意味でちょっと物足りないと感じたのも事実ですが、曲のカッコよさがそんなことはどうでもよくさせた。ガキだった私でも、これ聴いて「もっと速くねえとつまらねえぜ!」とか感じるほどバカではなかったということか。なにしろリフも歌メロもキャッチーでしたからねえ、すぐに全部覚えてしまった。覚えると「ここが聴きてえ」とか「次にここが来るぞ~」というふうになって、毎回毎回最後まで聴いちゃう。そしてまた最初から聴いちゃう。

 

↑これなどは後半には盛り上がって「スラッシュ・メタル」らしさが全開になる曲で、当時の私は「これこれ、こういうのが欲しかった!」と快哉をさけんだものです。続く「Bad Omen」も「My Last Words」も速くなる曲で、なんだかんだ言っても当時のMEGADETHはまぎれもなく「スラッシュ・メタル」バンドだったんだなあ。

ともかく、どの曲もまわりくどい展開ながら、カッコよくてキャッチーなフレーズや展開が必ず含まれていて、気がつくとラストの「My Last Words」(いかにも初期METALLICAがやってそうなメイン・リフが好き)が終わって、すると「Wake Up Dead」が聴きたくなり、またカセットテープをひっくり返して(当初はレンタルレコードで借りてカセットテープにダビングして聴いていたから)最初から聴きなおす。そしてテープはすぐにビロビロにのびちゃう。

 

いやあ、この記事をつくるために久しぶりに聴きなおしましたけどね、やっぱりどう考えてもMEGADETHの最高傑作はコレでしょう。長い歴史をもつバンドだけに時代によって音楽性は変遷してきたから、彼らになにをもとめるかによって「最高傑作」は変わってくるでしょうが、アグレッシヴなメタルが聴きてえという私のような人間には、これはもうほかのアルバムとは段違い、異次元の素晴らしさと感じる。

 

この次の3作目「SO FAR SO GOOD...SO WHAT!」も、そのまた次の4作目「RUST IN PEACE」も素晴らしい作品で、私も大好きだしとくに「RUST IN PEACE」は多くのファンが彼らの最高傑作と認識するアルバムですが、私はやっぱりダントツで「PEACE SELLS・・」を推しますね。

とはいえ3作目と4作目についても言及しないと、MEGADETHの「傑作」についての記事としては片手落ちとも思えるので、また改めてそのへんについて書いてみようと思ってます!

MEGADETHの最高傑作は、誰がなんと言おうと・・・その②

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