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思い出の名盤:OMEN「WARNING OF DANGER」

久しぶりにむか~しのメタル名盤の話を。

IRON MAIDENを入口としてメタルが好きになり、アグレッシヴでドラマティックで雄々しい(という言葉はジェンダー差別的だと言われちゃうんでしょうか。)メタルを追い求めてきた私。

いまはそういったメタルらしいメタルをやるバンドは少ないですが、80年代はそういうバンドの宝庫でした。いまのようにメタルが細分化されてなかったし、メタルファンも、MANOWARの「Death To False Metal」というフレーズがあらわしていたような「こだわり」をもつことが美徳と考えている人が多かった(現在はメタル界でもなんでも受け入れる寛容さが大事、みたいになっていますよね。だからクソみたいなのでも肯定され、そこそこ売れる)から当然といえば当然か。

今回取り上げるのは、まさにメタル以外のなにものでもないピュアなメタルで、しかも私の大好きなIRON MAIDENからの影響を丸出しにしていた、私がこれにシビれないはずがない素晴らしいバンド、アメリカ・カリフォルニア出身のOMEN。

IRON MAIDENの直系子孫的サウンド

OMENは1983年に1stアルバム、「BATTLE CRY」を発表。

Amazon.co.jp Battle Cry

アルバムジャケットはC級そのもの。裏ジャケに写ってるメンバーの恰好はレザー&スタッドの当時の典型的なメタルのファッション。

私はこれを後述する2nd「WARNING OF DANGER」のあとに聴きましたが、この1stも2ndに負けず劣らずの素晴らしい内容でした。モロIRON MAIDEN・・・っていうリフが疾走するうえで、J.D.キンボール(故人)の、攻撃的かつジメジメに湿った、呪術的な雰囲気でありながらエモーショナルな、とてもとても魅力的な声が、キャッチーで雄々しい歌メロを歌い上げる。

↑どんだけメイデン好きなんだ・・って言いたくなるくらいだけど、そこにキンボールの湿った声がかぶさってくると、唯一無二のOMENサウンドになります。

この徹底的に雄々しい声と歌メロで最後まで聴かされちゃう。その魅力が頂点に達するのが、次作の「WARNING OF DANGER」。

捨て曲なし、掛け値なしの名作!

1985年発表の2ndアルバム。私はたしか都内の中古盤店でこれを入手しました。

Amazon.co.jp Warning of Danger

ジャケット・デザインは少しはマシに。メンバーのファッションはTシャツとデニムに変化。こけおどしは必要ない、と悟ったんですかね。

↑私が所有するオランダ盤LPは裏ジャケに記載の曲順がめちゃくちゃ。間違いなのかそれともこういうバージョンも存在したのか?

楽曲は前作に引き続きIRON MAIDENの影響をモロに出しつつ、しかしキンボールの歌唱と歌メロは、さらに哀愁と勇壮さを増していました。

アニメの主題歌にしても似合いそうなドラマティックさとクサい歌メロ。そして前作よりもキャッチーさを増し、ライヴでもシンガロングになって盛り上がりそうな曲が盛りだくさんに、

インストの「V.B.P.」とか、ヴォーカルが入ってこなければ「初期メイデンの未発表曲」と言われても信じちゃいそうなくらいMAIDENだけれども、そこにばかり注目していてはいけません。このバンドの魅力はやはり歌。アグレッシヴなのに咽び泣いているような独特の雰囲気の声はカッコよすぎる。

 

B面トップの「Premonition」から「Termination」へ繋がる組曲は、まるで今でいうところのメロディック・パワー・メタルみたいな雰囲気。

私の友人などはこのキンボールの歌唱を「ヘタ」「一本調子」と言っていましたが、カッコよければそんなことはどうでもいいのですよ。それに、歌唱それそのものの魅力もさることながら、歌メロがキャッチーで素晴らしかったから、このアルバムは80年代パワー・メタルの名作となったんだと思います。

高校生だった私はこれをカセットテープに落とし、テープがビロビロになるまで聴きまくりました。そしてその勇壮かつ哀愁ある歌メロにシビれ、「メタルってほんとにいいなあ・・・」と心の底から感じていたのを思い出します。

今回紹介する3枚はいずれも名作ですが、私が棺桶に入れてもらうものを1枚選ぶならやはりこの2nd。折に触れて聴くたびに、メタルという音楽のもつ魅力を再確認するのです。

3rdアルバムも素晴らしかったのだが・・・

1986年には3rdアルバム「THE CURSE」を発表。

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メジャー・レーベルに移籍して発表されたこのアルバムも、路線としてはまったく変わらず、IRON MAIDENの香りを漂わせる男らしいパワー・メタル。

楽曲のキャッチーさという点では「WARNING OF DANGER」にちょっとだけ負けるけど、演奏もサウンド・プロダクションもレベルアップし、より作り込まれた音像になっています。しかし、キンボールのどんよりとしたジメジメヴォーカルはそのまんま。カッコいい。

 

しかし次の1988年のアルバム「ESCAPE TO NOWHERE」ではヴォーカリストが交代。それまでの正統的パワー・メタルの面影はまったくない、ハナクソ並みのアルバムとなってしまいました。

その後解散、再結成を経て何枚かのアルバムを出しましたが、オリジナル・メンバーはギタリストだけ、しかも毎回変わるヴォーカリストは揃いも揃ってイマイチで、だからというわけではないけど曲もつまんないものばかり。

初期3作の素晴らしさと、その後の作品のクソさ加減を比べてみると、OMENはJ.D.キンボールと(オリジナルベーシストの)ジョディ・ヘンリーでもっていたバンドだったんだなあ・・と愕然とします。

J.D.キンボールは2003年に癌により亡くなり、その素晴らしい声は二度と聴けなくなってしまったのはほんとうに悲しく、メタル界にとっては大きな損失でした。

 

現在でも活動しているようですが、とにかく初期の3枚だけはメタル好きなら必ず押さえておかなくてはならない名作です!幸い、初期3作の入手は難しくない(それ以降の作品が入手困難。まあそっちは無視してもかまわないのでOK)ので、ぜひとも手に入れていただきたい!

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