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TÝR「BATTLE BALLADS」を聴いた

4月、デンマーク領フェロー諸島出身のフォーク/ヴァイキングメタルバンド、TÝRがニューアルバム「BATTLE BALLADS」を発売。

Amazon.co.jp Battle Ballads (輸入盤)

フォーク・メタルと言うと、民族楽器をつかってノーテンキなおちゃらけメロディをメタルにのせるタイプを思い浮かべる方も多いでしょう。私はそのタイプがあんまり好きじゃない、っていうか嫌いなんですけど、このバンドはそういういわゆる「フォーク・メタル」とは一線を画していて、私にとって数少ないこの系統のフェイバリットバンド。

土着のメロディも導入されるけれどもどこまでも重く湿っていて、それがまぎれもない「ヘヴィ・メタル」のなかに完璧に溶け込み、ドラマティックかつヒロイックな、独自のパワー・メタルスタイルを完成させている。2011年の6作目「THE LAY OF THRYM」は私にとって必殺の棺桶アルバム。

思い出の北欧メタル名盤④:漢メタルの大傑作!TÝR「THE LAY OF THRYM」

そのTÝRの、2019年の「HEL」以来久々のニューアルバム。ネット通販で予約して待っていたんですが、なんの手違いか予約できてなくて、あれえ~しまった、とあらためて買おうとしたらどこのサイトも「SOLD OUT」もしくは「一時的に在庫切れ」「取り寄せ」に。しかたない、取り寄せで、と注文したものの一向に届かない・・・なんてことをやってて、ようやく先日聴けたところなのです。

METAL BLADE RECORDSの公式でフルアルバムが公開されているのは見たんですが、フィジカルで手に入れたもので聴かないと聴いた気になれないんですよねえ。いくら配信で音楽を聴くのが主流になろうとも私のような人間がいなくならないかぎりCDやレコードというものは滅びない。

いつもどおりの漢メタル!ファンがもとめているものをわかっていらっしゃる!

アルバムはMVも出てる「Hammerd」からスタート! AMON AMARTHっぽいリフがカッコいい!

 

エピカルな雰囲気ながらフォーク色は薄い疾走パワーメタル曲! キャッチーかつ胸に迫る雄々しいメロディをたたきつけてくれるのはこれまでと同じ! この1曲目を聴いてもうノックアウトされた!

いいねいいね。個人的には全部この路線で行ってほしいんだけど、今作もやはりベッタリとフォークな曲はちゃんと入っている。うち2曲はそのものズバリかの地の民謡をメタルアレンジしたもの、もう1曲、ラストに入ってる曲は中心人物のヘリ・ヨエンセン作曲。しかしそのへんもほかのフォーク・メタルバンドのような、メタルに民謡のメロディをくっつけてみました、みたいな安直さはなく、民謡をメタルにしました、というスタイルなのでカッコいいし普通に聴ける。だから嫌いではないけど、好きでもないのでここではとくに言及しません。彼らのアイデンティティの核をなすものだからこれくらい入れないとダメなんだろうけど・・・。

やはり私はメロディック・パワーメタルとしての部分に注目したい。土着のメロディを漢のパワーメタルに絶妙なさじ加減で溶け込ませる手腕はさすが。

 

今作はちょっとシンフォニックな味付けが濃くなっているような。そして曲は短くシンプル。10曲中6曲が3分台。一番長い曲でも6分に満たない。前作「HEL」も初期作にあるようなべらぼうに長い曲はなかったけれど今作はさらに短い曲が多い。しかし「Hangman」なんかを聴けばわかるように、長くなくても1曲でひとつのドラマを構成するメタルにきちんと仕上がっている。このへんは10分だのいう曲をダラダラ聴かせる昨今のどこぞの大御所バンドとはまったく異なる素晴らしさ。無駄に長くないんだけれど中身は詰まっている、という印象を受ける。それはやっぱり、すべての曲にキャッチーなフレーズが必ず突っ込まれているからでしょう。

 

ということで、フォーク色の混ぜ込まれた劇的メロパワ、というスタイルは変化することなく、シンフォニック風味を加味してさらに劇的さをアップ、シンプルながらキャッチーで密度の濃い曲が増えた素晴らしい作品になっていると感じました! いつ入手困難になるかわからないので、CDが欲しいという方は早めに買っておくことをおススメしておきます! 国内盤発売はないの?なんで?

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