本ページのリンクには広告が含まれています 演歌・歌謡曲 雑談 音楽番組の感想

長寿番組「NHKのど自慢」が驚きのリニューアル

2023年度、令和5年度が始まって生活にかかわるさまざまな面でいろいろと変わるところがありますね。

そんななかテレビ番組も新しいのが始まったり逆に終わったり。それはいつものことだから別にいいとしても、歌が好きな国民には「ええ・・・?」と呆然とさせられるようなリニューアルをやらかした番組が。

戦後まもなくのころから続く国民的番組「NHKのど自慢」がキャストや舞台セットなどを一新。それだけなら驚きませんが、まさかの「伴奏を生バンド演奏からカラオケ音源に変更」。

これはビックリ。テレビがなかったラジオ時代から続く伝統をいとも簡単に捨てるとは。もちろんラジオ時代にはカラオケというものがなかったけれども、カラオケ誕生以降も生バンド演奏でやってて、それは強固な信念のもとに続けられているものなんだと思っていましたが・・・。

最近はプロが歌う歌番組でもカラオケ音源ばかりだが・・・

まあ民放の歌番組なんかはほとんどすべてがカラオケ音源だし、NHKの歌番組でもそれが多くなっている。いつも記事にしている「新・BS日本のうた」は基本バンド演奏だけれども曲によってはカラオケ音源を使用している。

録音技術の進化でバンド演奏で再現しても激ショボにしかならない曲とかも増えてるんだろうし、生バンドでやるのはカネも手間もかかるんだろうってのは理解できる。民放は広告収入が低迷しているらしいし、NHKも受信料値下げや衛星波の整理などをしてるし、仕方のないことなんでしょう・・・・?

いやいやいや、そうじゃないでしょ。なんでもかんでも合理化すればいいってもんじゃないし、そこは削るべきところじゃないのでは。カネを使うべきところと削るべきところがわかってない、というか「この番組はこうあるべき」「ここだけは譲れない」っていう信念がない(ない人が担当になった?)んだろうなあ。国家存亡の危機である少子化への対策を策定するにあたっても「財源はどうしようか~」とかのんきなことぬかしてる自民党の奴らと同じようなものか。ここぞというところには他を削ってでもカネを使う、っていうアタマが働かない。

 

私が中学生だったころ、友人に影響されて当時デビューしたばかりのBON JOVIを聴いて海外のロックを聴き始め、そこからヘヴィ・メタルに傾倒していった・・ということを以前に書きましたが、→思い出の名盤①~「BON JOVI」/BON JOVI~ そのBON JOVIが来日したとき(1984年?)、民放の音楽番組に出演するという話を聞いて、私は「BON JOVIの動くところが見られる!」と思ってドキドキしながらテレビの前に座りました。

そこで「Runaway」を演るというので「おぉ~!」と色めき立ったのですが。はじめて見る動く(演奏する姿の)BON JOVIのバックに流れてきたのは生演奏ではなく、レコードで何百回も聴いて耳にこびりついた、スタジオ録音の「Runaway」そのものでした。

ジョン・ボンジョヴィの歌唱もレコードと寸分たがわず同じ、レコードと同じようにフェードアウトして終わり。

曲がフェードアウトするとともに踊るのをやめたメンバーの姿はものすごく滑稽に見えたし、これにはとにかくガッカリした。見る前はメンバーが動くところが見られるだけで嬉しいと思っていましたが、明らかな口パク、演奏するマネだけを見せられて一気に萎えた。音楽業界やテレビ業界の事情など知らない純真なガキだった私は詐欺にあったような気分にさせられ、心底ガッカリした。最近はバンド形態のミュージシャンでもこのように「演奏しているフリ」だけでテレビとかに出るのがほとんどになりましたよね。BON JOVIのそれを見て以来ずっと、そういうの見るとものすごい嫌悪感をおぼえるようになりました。

だからといって録音音源や口パクの使用を完全否定するつもりはないし、プロが出る音楽番組と「のど自慢」を同列に語るのは間違ってるのはわかってますが、生演奏と録音音源や口パク、テレビで見たり実際にステージでやってるところを見るのならどっちが見たいかっていうとやっぱり生演奏のほうがいろんな意味で魅力的であるのは間違いない。録音音源ならCDでいくらでも聴けるんだから。

「のど自慢」が国民的番組たり得たのは・・・

とはいうものの、「のど自慢」はあくまでも素人が文字通りのど自慢して盛り上がる番組なわけだから、本質的には「べつにカラオケ音源でもいいじゃねえか」となるでしょう。だからNHKも今回のようなリニューアルを考えたのかもしれない。「べつにカネと手間かけてバンドがやる必要なくね?ムダは省いたほうがいいんじゃね?」という意見が出るのもわかる気はする。しかし「ムダ」が魅力的、ということも世の中にはあるし、「必要なムダ」っていうのもある。この番組におけるバンドの存在は断じて「ムダ」ではないと思うけど。

「のど自慢」が本質的には「カラオケ大会」と同じであろうとも、当意即妙の演奏をできる名人が揃ったバンドが伴奏してくれるのと、ただのカラオケが流されるのとでは、その魅力が段違いなのは明らか。

「NHKのど自慢」もそういう生演奏のもつ魅力やパワーというものを重要視しているからあの形態をかたくなに守ってきていたんだと思っていましたが、ついにその信念を捨ててしまったか、もともとそういうものはなかったらしい。

生バンドが演奏してくれるからこそ「カラオケ大会」ではなく「のど自慢」だったし、出場者の歌唱がどれだけ乱れたものであってもそれに合わせて演奏を修正し曲が崩壊しないようにしちゃう職人芸を笑顔でみせてくれるバンドの人たちがいたからこそ見る価値があったし長年にわたって国民的番組でありえたのでは。

 

4月2日のリニューアル初回放送も見ましたが、カラオケ伴奏であっても、ヘタな人もうまい人も一生懸命歌って楽しめる番組、というのは変わらず、たぶん視聴者も参加者もそれほど違和感なく受け入れていくんだろうという印象を受けました。私のように文句言う人はそれほど多くないのかもしれません。時代の流れというものもあるから仕方がない・・・とはいえ、寂しい気持ちになったし、家にいる日曜日、テレビつけてのど自慢見るか・・・なんていうモチベーションは下がることはたしか。これでは「楽器が売れない」というのも当たり前でしょうねえ。楽器を演奏してカッコいい姿をみせてくれるっていう場面がテレビ等でどんどんみられなくなってきている。近い将来学校の吹奏楽部なんてのも滅亡するかもしれませんね。

-演歌・歌謡曲, 雑談, 音楽番組の感想
-, , , , , ,