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「袴田事件」元死刑囚・袴田巌さんに再審無罪判決!検察は潔く受け入れて腹を切れ!

1966年、静岡県清水市でみそ製造会社の専務一家4人が殺害され現金を奪われ放火された強盗殺人・放火事件、いわゆる「袴田事件」で逮捕され死刑が確定した袴田巌さん。このブログでも何度か触れてきました。

袴田さんは警察の調べで自白したものの初公判以降は一貫して無罪を主張、死刑確定後に再審を請求。第1次再審請求は2008年に最高裁が棄却。すぐに出された第2次請求で静岡地裁が2014年に再審開始を認め袴田さんは釈放されたものの、静岡地検が即時抗告(検察が抗告できるってのがそもそもおかしいんだけど)。2018年に東京高裁がまさかの再審請求棄却。弁護側が特別抗告、最高裁は2020年、高裁に審理のやり直しを命ずる。2023年に東京高裁が再審開始を認める。東京高検はこんどは抗告を断念、再審開始が決定。そして2024年のいま、ついに再審の判決が。

判決は無罪。

無罪しかありえない、と思っていても、これまで裁判所や検察がやってきた恥知らずのムチャクチャさ加減を思い起こすと、「なにが起こるかわからない」という不安はぬぐえなかった。だからドキドキしながら報じられるのを待っていましたが、期待された判決が出てとりあえずはよかった。晴れ晴れとした表情で話す姉のひで子さんの姿をみて私も涙しそうに。立派だなあ。私なら裁判長に謝罪されても「いまさら謝って済むか!」って罵倒しちゃうところ。

冤罪のために失われた時間と人生のことを考えたら「おめでとう」とはとても言えないけれど、無罪判決となったことについては心よりお喜び申し上げたい。

そして、裁判所は再審の争点となった証拠の「5点の衣類」について、「捜査機関の捏造」と言い切った。検察は「上と相談する」とかぬかして、控訴するかしないか明言しませんでしたが、控訴するんなら証拠が捏造と言われたからにはそれを覆すだけの材料が必要なはず。そんなものはなくてせいぜい屁理屈をこねるくらいのことしかできないのは明らかなんだから、ここは潔く判決を受け入れるべき、っていうか受け入れろ。

裁判長は謝罪したが・・・それで終わる問題じゃないよ!

いやあ、冒頭にこの裁判の経過を書きましたが、再審をやるかやらないかっていうだけでこんなに揉めて時間をかけて、検察はそんなにメンツが大事なのか、とあきれるばかり。

そもそも2014年に地裁が再審を認めた時点で、死刑判決を出した裁判所が「この確定判決は間違っていたかも」って判断したんだから、粛々と裁判をやりなおすのが筋というもので、そこを検察が「いやそんな必要はない」とかぬかすこと自体がどうかしてる。主張したいことがあるなら再審で主張すればいいだけなのに。検察がメンツを保とうとみっともない悪あがきをしたせいで袴田さんが「死刑囚」という立場から抜け出すのが10年も遅れた。そんなだからカルロス・ゴーンみたいな銭ゲバ外人に「この国の裁判は信用できない」とか捨て台詞を残されて逃げられ、犯罪集団自民党に対してもなにもできねえんだろ。

どこかの元検事だかなんだかが、この事件について「過去の冤罪事件はぜい弱な証拠しかなかったが袴田事件は違う」とか、「検察の有罪立証の姿勢は妥当」とかぬかしている記事が新聞にあるのを見ましたが、気が狂ってるんじゃないかと本気で疑った。今回の裁判は「5点の衣類」の血痕の赤みが消えるか消えないかが争点になっているけれども、そもそもそれが犯行着衣だったとしても、なんでそれが袴田さんが殺したっていう証拠になるのか理解不能。着衣が間違いなく袴田さんのものであって血痕が被害者のものであればそりゃあ証拠能力は高まるだろうけど、袴田さんはズボンが小さくて履けなかった(みそにつけると縮む?じゃあそれも立証しろ。それに逮捕されて拘束されてればふつうみんな痩せるでしょ。それでも履けなかったならどう考えても本人のものじゃないとしか言いようがない)んだし、血痕もDNA鑑定では袴田さんのものとも被害者のものとも違うという。それでも屁理屈をこねて検察が抵抗してきた結果、すでに事件から58年。

私が生まれる前から刑事施設に拘束されてこられ、明日吊るされるかもしれない、という恐怖にさいなまれ続けたた袴田さんの苦しみは、国家権力はウソをつかない、と思ってる人には想像できないんでしょう。

今回の裁判長はひで子さんに「時間がかかって申し訳ない」とわびたらしい。わびるのは当然のことだけれど、わびてそれで済むと思ってねえだろうな、というのが気になる。

「時間がかかって申し訳ない」と言うのなら、いますぐにでも弁護側と一緒に国家賠償請求訴訟の準備を始めて、寝ずに働いて急いで賠償をしろ。

それから、証拠を捏造するというありえない犯罪をやらかした警察や検察の責任を追及することも忘れてはいけない。そもそも捜査が違法だったと認定したんだから、捜査のために仕方がなかったとか、間違えましたでは済まない。そう考えれば、法務大臣(今誰だっけ?小泉だっけ?)はすぐにでもコメントを出さなくてはならないはずだが、「捜査機関の証拠捏造」などというありえない判決が出てもまだコメント出してねえのか。総裁選だのといってできもしないホラばかりふいて遊んでる場合なのか。どこまでもノーテンキでほんと詐欺師集団はうらやましい。

こんな判決が出た以上、法務大臣を「個別の件には答えられない」などというタワゴトで逃がしてはならない。マスコミは徹底的に追及しろ。無罪が確定したら小泉はなにを差し置いても袴田さんのところへ飛んでいって土下座してお詫びしなければならないはず。そこまでやったら「自民党にも漢がいたか・・」と感心するところですけどねえ、やらねえだろうなあ。

再審制度の改正だけでは足らない。死刑の廃止まで踏みこんでほしい

いずれにしろ、これでもう死刑確定者の再審無罪はもう5人目。1950年代くらいまでは毎年何十人っていうレベルでバンバン死刑執行していて、そのころは科学的に証拠を集めたりとかいった技術もなく、自白すれば(させれば)有罪みたいなことが当たり前にまかり通っていたから、どれだけの人が冤罪で殺されてしまったか、ほんと見当がつかない。なんと恐ろしい。となりの大陸の全体主義国家となにが違うのか。

で、現在では確定数や執行数が圧倒的に減ったけれども、袴田さんの裁判の経過を振り返ればわかるように、いちど捜査機関に目をつけられ逮捕され起訴されてしまえば、たとえほんとうはやっていなくても無罪とされて帰ってくることは至難の業であることは変わってない。

だから再審制度の改善が必要・・・っていう話になっているんですが、いやいやいや、証拠が自白しかないとか、状況証拠しかないとか、そんなんで起訴できて有罪にできてしまう司法制度そのものを見直さないと。すべての事件のすべての取り調べの録音録画とか、逮捕段階から国選弁護人をつけられて取り調べにも立ち会ってもらえるようにするとか、改革しなければならないことはいくらもある。

現在の確定者のなかにも、素人目からでも「こんな証拠で死刑・・・」と愕然とするような件がいくらもあるじゃないか。だからなかなか執行しない。ワイドショーのコメンテーターとかが、「紀州のドンファン」の件で、「直接証拠はなくても、犯人はこの人しか考えられない、という状況証拠がたくさん固まれば・・・」なんてことを言ってるのを見ましたが、いやいやいや、「この人しか考えられない」ってのは捜査機関が無能だからほかの可能性を見つけられないというだけ、な可能性をなぜ考えないのだろう。捜査機関はすべてを見通す神だとでも思っているのか。

我々国民が、捜査機関(ていうか公権力)はメンツのためならウソでも証拠の捏造でも平気でやる、とちゃんと認識していさえすれば、「状況証拠しかないのに死刑?ふざけるな!」「自白を裏付ける証拠もないのに死刑?なめるな!」と考えることができるはずで、そういうふうに変わっていかないと、袴田さんの事件のようなことは繰り返されるんじゃないか。

 

それから、検察だの裁判所だの法務大臣だのに国民に死をあたえる資格などない、ということがもういいかげんわかったはずで、この件をきっかけに死刑廃止への動きが活発化することを期待したい。

政治家にそういうことを一生懸命やるやつがいればいいですけどね、票にならないことは一切やらない、自分のカネと選挙のことしか頭にない奴らにそんなことは期待できない。我々国民が「ウソツキに死刑などやらせるわけにはいかない」という機運をつくり、政治家を「死刑廃止のために働かないと票にならない」というふうに追い込まないと。我々国民が死刑を否定しなければ政治家もその気にならない。

と言うと、「死刑の必要性と冤罪は別の話」「なくすべきは冤罪であって、死刑は必要だからなくすべきではない」と言う人が多いようなんですが、今回の無罪判決が「ほんとうにそうか?」と考えるきっかけになってほしい。冤罪のリスクはゼロにはできないけれど、死刑は廃止すれば間違って無辜の人を殺す可能性をゼロにできる。

死刑は必要だ!犯人を死刑にしないと被害者感情が...っていうのも、じゃあ犯人が吊るされて「これで気が晴れました!すべて忘れて明るく生きていけます!」って喜ぶ被害者遺族がいるのかっていうと、そういう話は聞いたことがない。テレビドラマで「被害者の無念を晴らすために!必ず!ホシを挙げる!」っていうのがあって人気でしたが、「ホシを挙げさえすれば被害者の無念が晴れる」っていう発想自体が、被害者の気持ちを軽視している証しのように私には感じられる。公権力が目指すべきはそういう悲惨な事件がそもそも起こらないようにすることなのでは。あのドラマ見るといつも、事件が起こってから張り切ってくれてもしょうがない、としか感じない。面白いから好きですけどね。

 

死刑については言いたいことが無限にありますが、とりあえずここでは袴田さんに無罪判決が出たことにお喜び申し上げ、クソ検察が血迷って控訴などしないことを祈って終わりましょう。今後の動きにまだまだ要注目です。

 

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