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圧倒的絶望!あさみちゆき「四畳半の蝉」が哀しすぎる

先日、「井の頭公園の歌姫」あさみちゆきの

最新曲「四畳半の蝉」のCDを入手。

これがめちゃめちゃ凄いので

ぜにとも記事にしておすすめしておきたい。

人生のつらさ悲しさが胸に迫る!

井の頭公園でのストリートライヴをずっと続けていることから、

「井の頭公園の歌姫」とよばれる あさみちゆき。

あさみち・ゆき ではありません。あさみ ちゆき。

もうデビューから15年だそうです。

 

私もすべての作品をチェックできてませんが、

昭和っぽい懐かしさを感じさせる,

哀愁をたたえた歌唱には、聴くたびに心を揺さぶられます。

で、昨年11月に発売された目下の最新シングルが、

「四畳半の蝉」。

amazon.co.jp 四畳半の蝉

作詩・結木瞳。作曲・山崎ハコ。

作詩の人の名はきいたことなかったですが、

この曲は「第50回日本作詩大賞新人賞・最優秀賞受賞作品」

だそうで、名前をしらないのも当然でした。

 

その詩はものすごくダーク。

男に捨てられた女性が、

「土に還った蝉のように」真っ暗な四畳半の部屋で布団にくるまり、

別れの哀しみをかみしめている。

こういう経験は、多くの人にあるんじゃないでしょうか。

私も大学生のころに女の子にフラれ、

なにもやる気がしなくて数日間学校に行かずに寝て過ごしたことがあります。

「四畳半一間・・・」という叫びにも似た部分は、

蝉がひと夏のあいだ命をかけて鳴くのと同じように、

命をかけて男を愛したのに捨てられたおんなの哀しみがあふれ出るかのような迫力。

 

メタル好きの私としては、泣きまくる長尺ギターソロみたいなのが

途中に入ってたらもっとよかったかな~と。

でも、淡々としていたほうがいい、と作曲者・編曲者は思ったんでしょうね。

 

この曲のように、長く生きていれば絶対に経験する人生のつらさかなしさ理不尽さを、

真正面からストレートにぶつけてくる曲は大好きです。

 

世の中にあふれかえっている、徹底的に前向きで明るく肯定的な歌をきくと、

そのウソ臭さ、わざとらしさに吐き気を催し、

「ウソツキめ!」と叫びたくなる、私のような人間も世の中にはいるのです。

そして、こういう「ほんとうにある、かなしいこと」を歌ってくれる曲をきくと、

逆に勇気づけられます。

これからの日本は、「四畳半の蝉」みたいな人が多くなる

この曲は男に捨てられた女性を歌っていますが、

これからの日本は男女を問わず

こういう人がどんどん増えてくるでしょうね。

 

たとえば、配偶者に先立たれた高齢の人を考えてみると、

歌詞の

「生きているのが辛いから 電気も消して布団にくるまり」

「二日も三日もなにもせず」

「朝から晩まで ひとりきり」

「訪ねてくれる 人もなく」

なんていうところは、

まさしくこういう生活をしている独居の高齢者は多いんじゃないか。

 

それと、私のように結婚もぜずにひとりで暮らしている中年とか。

私の場合は布団にくるまっていたらすぐに飢え死になので

そうはいきませんが、家にいるときは

「朝から晩までひとりきり 訪ねてくれる人もなく」過ごします。

 

だから、この曲を聴くとものすごく胸にせまってくるのです。

「自分もそういう経験があったなあ・・」と想ったりとか、

あるいは「自分もいつか徹底的に孤独になるときがくる」という

想像力がはたらく人ならば、この曲に心が揺さぶられるはず。

だから、あさみちゆきには中年以上のファンが多いんでしょう。

 

こういう重い曲が評価される世の中になってほしいと願いつつ、

このへんにしておきます。

 

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