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故八代亜紀さんの追悼CDの件について思うこと

一昨年暮れに惜しくも亡くなった八代亜紀さんの、「私的な」ヌード写真を特典につけたCDが発売され物議をかもしていますね。

CD自体はベつに珍しくもない内容(?)の10曲入りで、価格は3,700円となっているからお得でもなんでもなく逆に「高すぎだろ」っていうくらいのものですが、大手CD店や通販サイトでは締め出され販売されてないこともあって、転売目的(フリマサイトなどでは「アダルト」商品であるとして削除されている模様)での注文が殺到、販売元は現在注文受付を一時ストップしているという。

これについて法的に販売を差し止められないのかという話になっていますが、販売会社の言うようにほんとうに「権利」をもっているのであればどうしようもない。しかし「私的な」写真も含めた権利を手に入れるなんてことがありえるのか。生前に本人が「アタシの写真やらなんやらはあんたのとこで商売のタネにしていいわよ」という旨を書いたり言ったりしたのだろうか。そんなことはありえないと思うけどなあ。

写真を撮ったのは八代さんと同棲していた人だそうだけど、つまりその撮った人間から権利を買ったということなのか。人物写真の著作権者は一般的には撮影者ということになるから、おそらくはそういうことなんでしょう。

死者に鞭打って稼ごうとするのはマスコミもいつもやっていることでは?

しかし被写体になった人には肖像権というものがあるはずじゃないか・・と考えられますが、なんと(少なくとも日本では)死者には肖像権はないということになっているらしい。これはいわゆる「パブリシティ権」や「プライバシー権」についても同様で、「個人情報保護法」も適用されないという。

 

なるほど。だからマスゴミは犯罪や災害の被害者の写真やプライバシーを好き勝手に使っていいわけなのね。亡くなったからといって、名前だけならまだしも、写真とか卒アルの内容とかSNSで書いたこととか、「そこまで暴く必要ある?」ということまで公共の電波で流しまくる。

知床遊覧船の被害者男性などはプロポーズの手紙が公開されていた。これは報道によれば遺族の方がみずから公開したらしい(公開というより、葬儀で読まれたものをマスコミが勝手に全国区で流しただけなのでは?)が、私なら死後にプロポーズの手紙が公開されるなんて考えただけで気が狂いそうなくらい嫌ですけどね。死んだからって日記が勝手に読まれたら、家族に読まれるだけならまだしも世界に公開されたら、想像するだけでもう耐えられないほど恥ずかしい。死んだんだから恥ずかしいもへったくれもないだろ、と言われちゃうのか。私なら絶対に嫌ですね。私も父の死後に父の日記とかみつけましたけど、読もうなんて思わなかったし、人にみせるなんてとんでもない。

マスコミの奴らはそういうこと考えたことがないんだろうか。「プロポーズの手紙!こりゃあ『悲しくも美しい物語』の記事が書けて儲かるぜ!」という単細胞生物みたいな条件反射しかないんだろうか。

私は犯罪や災害の被害者のプライバシーを暴きまくる報道をみるにつけ、そういう思いにかられて吐き気を催すんですけど、世の多くの人はそんなこと考えずに「被害者気の毒!」「犯人をはやく死刑に!」とか考えてるわけで、だからこそ「カネになる」と思って死者のプライバシーが流されまくっている。

 

すると八代さんの件でマスコミや視聴者が「故人の裸を勝手にさらすなんてひどい!」とか騒いでいるのをみると、なにをいまさら、という気がしないでもない。

卒アルやSNSは基本公開しているものだからまだしも、基本は相手だけに見せるもののはずのプロポーズの手紙だのを公開されることと、カレシにしか見せないであろう裸の写真を公開されること、どっちも本人にとっては嫌なことであろうことは同じじゃないでしょうか。

八代さんの件で「許せない!」とかう言うのならマスコミは死者のプライバシーを暴くのを即刻やめるべきだし、視聴者はそういうマスコミを徹底的に批判しなくてはならないのでは。

 

さっき、亡くなった人には個人情報保護法も適用されないらしいと書きましたが、報道機関が報道目的で取り扱う場合はたとえ生きてる人であっても個人情報保護の適用外らしいですね。ということは、たとえば私が明日にでも通り魔に襲われて意識不明になったとしたら、被害者は○○町に住む○○さんで、これこれこういう職業の人、と勝手に報道され、そこにニュースバリュがあると思えば(私にかぎってはそれはないけど)この人はこんなブログ書いてたとか、こういう交友関係があったとか、政治家やマスコミの悪口をいっぱい書いてたとか、そんなことも全部暴露されてしまうかもしれないわけだ。被害者なのに。

マスゴミの奴らはすぐに「報道の自由」とか「知る権利」とかぬかすけれども、犯罪や災害の被害者の人とナリなんかを知りたいと思ってる人って言うほど多いか? どうでもいいだろそんなこと。親族とかにだけ知らせてやれば充分じゃないか。「この人はカノジョにどんなプロポーズの手紙書いた人なんだろう!」とか知りたい人いるか? そんなことを書きたてるために「報道の自由」だのぬかすのをみてるとほんと吐き気がする。「知る権利」とかぬかすのなら、権力者の犯罪や発言はすべて包み隠さず実名で報道するべきなはずだけどそういうのは全然やらず、かたや名もない一般市民がちょっとした間違いをおかすとご丁寧にすべて(しかもまだ容疑者の段階で)実名報道し、プライバシーを暴きまくってカネにする。気が狂っているとしか思えない。

 

いつもそんなことしてる奴らがワイドショーだので八代さんの件について「死者への冒涜だ!」とか「死者に鞭打つのをやめろ!」とか「許せない!」とか言って騒いでいるのはほんと理解しがたい。故人の裸の写真で稼ごうとするレコード会社と、故人のプライバシーで稼ごうとするマスコミと、いったいなにが違うのか。

いずれにしろ、まともな音楽ファンには買う価値のないもの

マスコミの仕事については言いたいことは無限にありますが、とりあえず今回の八代さんのCD、音楽の部分についてはべつに「お宝」的なものはないようだし、ジャケットとかブックレットとかいった部分も、インディペンデントレーベルなだけにおそらくそんなに豪華なものはなさそうで、ヌードに興味がなければ価格に見合う価値はなさそうなので、まあ買わないのが無難でしょうね。まして転売品をさらに高い値段で買うなんてとんでもないことです。

まあ私も応援している若手がCDに水着写真つけましたとか言えば多少高くても「しょうがない買うか」と考えるかもしれませんが、そんなことをしても一部のファンからは逆に「やめろ」と不興を買うかもしれないし。望月琉叶なんかは写真集とか出してお色気路線で売っているけれど、歌なり演技なりで個性を完成させない限り、若さが失われればそれで終わりになる。演歌歌手でやっていくつもりならとるべき販売戦略として長い目でみて有効だとはあまり思えない。

それはともかく、今回の八代さんの件はそういう次元の話じゃないですからねえ。望月琉叶の写真集は正直「欲しい」と思うけれど、八代さんの場合はグラビアとかではなくカレシが撮ったプライベート写真。そんなものまともなファンなら欲しいとは思わない(そんなことない?)でしょう。

 

いずれにしろ、そんなもの出しても儲からない、というふうに業者が考えるようになってくれればこういうことは起こらないわけで、まともなファンはそういうものは買わないという態度に徹していくべきでしょう。

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