まもなく2023年も終わり。
私はジャンルにかかわらず新譜を新品で買うことはあまりない。ほとんどは中古になってから安く買ってます。聴きたいものを全部新品で買ってたらカネがもたないからですが、応援したいと思っている歌手やバンド、「新譜が出たならとりあえず買わなきゃあ!」と思ってるくらい好きな人やバンドであればもちろん新品で買います。新品で買わないと「応援」になりませんからね。
今年もそんなふうにして新譜を買っていましたが、今年の演歌・歌謡曲は非常にいい曲が多く出た印象でした。今回はその曲をあらためて紹介しておこうと。でも、これほど素晴らしい曲を出した歌手たちの誰一人も「紅白」には呼ばれないんだから、NHKはやっぱり無能の集団で、「紅白」なんぞもはや見る価値などない、というのがわかりますねえ。
一条貫太「男の漁場」
革ジャンにジーンズがトレードマーク、「平成生まれの昭和なボイス」一条貫太の10枚目のシングル。
魅力的な声の持ち主だなあ、とは思ってましたが、いままで彼の曲は逐一チェックしてませんでした。今作はラジオで聴いて一発でブッ飛ばされ、いままで追いかけてこなかったことを後悔させられたカッコよすぎる名曲、名演!
男なら「海はよォォォ~、海はよォオオオオ~!!!!」という魂の叫びで心が揺さぶられること必至。これこれ、こういうのをやってサマになる男を待っていたんだよなあ。氷川きよしフォロワーの優男ばかりがゾロゾロ出てくるのはもういいかげんウンザリだ。
カラオケで歌ったら最高に気持ちよさそうな、コブシを握りしめずにはおれない雄々しすぎる歌メロも最高だけどそれ以上に、男らしさを前面に押し出した適度に荒々しい歌唱が最高。この曲のMVの再生回数がたったの15万回?ウソだろ。日本クラウンはもっと一生懸命プッシュしろ。
今後も日和らずにこの「昭和の男」路線を貫いていけば、氷川きよしフォロワーたちを置いてけぼりにして抜きんでることができるだろう、と確信させられる!頑張ってほしい。
羽山みずき「ひとつ花」
山形県出身の「開運演歌女子」、羽山みずきの9枚目のシングル。
現在の演歌界で随一の、湿り気たっぷりの可憐かつ儚げな美声をもっている人。これまでの8曲もどれもよかったけど、そろそろダントツに素晴らしい曲が出て突き抜けてほしいなあ~と思っていたところで、この9曲目はこりゃあ最高傑作だろ、とブッ飛ばされました!
このどこまでもたおやかな歌声でこそ表現できる世界ってものがあるんだな、と理解させられる。その唯一無二の魅力をもってして演歌界を席巻することになる日が待ち遠しい!来年早々に出る新曲にも期待!
川野夏美「裏窓の猫」
今年がデビュー25周年イヤーだった川野夏美の目下の最新曲。
先日観に行った「演歌フェス」にも出演していたけれど、「懐メロガール」ばっかりやっててこの曲はやってくれなくて非常に残念でした。これほどカッコいい曲を歌わせないとはNHKの番組構成作家は無能しかいないのか。
ガツンといく重いド演歌から、こういうしっとりと聴かせる哀愁曲、キャピキャピしたポップな曲まで、どんな曲をやっても圧倒的表現力で聴き手の心を揺さぶっちゃうところが凄い。歌唱の素晴らしさに加え、イントロのコーラスも泣きまくるギターも最高で、ファンならずとも買わなきゃ損な名曲!
石原詢子「五島椿」
ほか、福田こうへいの「天空の城」も感動的だったし、三山ひろしの「北海港節」も「ビタミンボイス」の魅力が堪能できるカッコいい曲だったし、2023年はほんと豊作だったなあ~と。
そんななかで個人的ベストチューンを選ぶとすればこの曲。
石原詢子の35周年記念シングル。本人の作詞・作曲。
ラジオで作詞・作曲にあたっての生みの苦しみを語っているのを聴きましたが、これは岡千秋先生や徳久広司先生などこれまで彼女の曲を書いてきた人たちとは異なる独自の世界観をきりひらいたと言えるのでは。さわやかでどこか懐かしい感じの前向きなメロディと歌詞はどこまでもキャッチーで一発で耳に残る。聴くたびに胸をうたれ、明日もがんばろう・・という気にさせてくれる。
これ聴いちゃったらぜひとも次作も本人の作詞作曲で・・と期待せざるをえない!ひとにぎりの巨匠たちがたくさんの歌手の曲を書きまくってる感のある(それはそれでいいんだけど)演歌・歌謡曲界に常に新風を吹かせて活性化するためには、歌手自身が作詞や作曲をするっていう動きがもっと活発になるべきだと思いますねえ。しかし若い歌手だとそれも難しいのかな。先生をさしおいて「こんな曲書いてみたんスけど歌わせてくれませんか」とはなかなか言えないであろうことは想像できる。
それはともかくこの2023年、いい曲にたくさん出会えてその意味では嬉しい1年となりました! 来年もそうなることを願っています!