ジャーマン・スラッシュメタルを代表するベテランバンドのひとつ、
SODOMがこれまでこだわってきたトリオ編成をやめてツイン・ギターの4人編成になったのは昨年。
そのラインナップで制作された前のEP「PARTISAN」と、
最新EP「OUT OF THE FRONTLINE TRENCH」をカップリングした作品が
日本独自仕様で発売されました!
これでしか聴けない曲もあるようなので私も購入して聴きました!
その感想と、SODOMの名作について思うことを書いておきます。
スラッシュ・メタル以外の何ものでもない強靭なメタル!
収録曲は8曲。
各EPの新曲4曲のほかに、
来年発売予定のニュー・アルバムに入る予定の曲が1曲、
過去の名曲の再録音が1曲、ライヴが2曲。
Amazon.co.jp アウト・オヴ・ザ・フロントライン・トレンチ
メルカリ SODOM OUT OF THE FRONTLINE TRENCH
ギターが2本になってハモリなんかもしてみたり、ちょっとだけ変わったかなというところもありましたが、
新曲はどれも徹底的にオールドスクールなスラッシュ・メタルでとにかくクール。
トム・エンジェルリッパーのアグレッシヴなのに無感情なヴォーカルはひたすらカッコいい。
個人的には「Partisan」のキャッチーなリフがイッパツで気に入りました。
で、この作品を買う理由のひとつになった、リ・レーコーディングされた名曲は、
1989年に出た3rdフルアルバム「AGENT ORANGE」のトップに収録されていたタイトル曲
「Agent Orange」。
SODOMの出世作「AGENT ORANGE」
「AGENT ORANGE」は、
SODOMの最高傑作はなんだろう・・という話題になったとき、
古典的なスラッシュ・メタルを好む方であれば
「そりゃあコレだろ」と挙げられることが最も多いアルバムかもしれません。
SODOMの作品で最も聴くべき傑作は・・と訊かれたら、
私はとても迷いますね。
1stミニアルバム「IN THE SIGN OF EVIL」はBATHORYやPOSSESSEDにも通ずるそのハチャメチャさクレイジーさという点ではピカイチの大傑作だったし(演奏はめちゃくちゃなのになぜかカッコいいという奇跡!)、
4枚目のフル「BETTER OFF DEAD」はキャッチーかつメロディアスかつアグレッシヴな名盤でした。
↑個人的に最も好きなのは「BETTER OFF DEAD」アルバムです。
真性のマニアに言わせれば、「爆走ロックン・ロール」ともいうべきMOTORHEADのようなサウンドは
「こんなのSODOMじゃねえ・・」ということになるんでしょうが、
全曲がキャッチーなこの作品が私には棺桶アルバム級の素晴らしさでした。
しかし、「スラッシュ・メタル」バンドとしてのSODOMの最高傑作は・・という話なら、
最初期のハチャメチャなブラック・メタルサウンドから脱却してカッチリしたスラッシュに成長した2ndフル「PERSECUTION MANIA」か、
その次の「AGENT ORANGE」ということになるでしょう。
こういう真っ正直な、なにも考えずに突進するような気持ちのいい曲を聴かせてくれるバンドは最近は非常に少なくなりましたね。だからメタルは斜陽なんだな。
スラッシュ・メタルのプリミティヴな魅力というのはこういうものだ・・と再認識させてくれる素晴らしい名盤。
いつも言うように、スラッシュも含めエクストリームなメタルというものはカッコよければそれでいいのであって、
小賢しいテクニックを持ち出してくる必要はないんだな。
ともかく、今回の「OUT OF THE FRONTLINE TRENCH」は、
来年に出るというニュー・アルバムへの期待を膨らませてくれるに充分な素晴らしいデキでした!
新作が出たらまた記事にします!