いまBS朝日で時代劇「必殺仕事人・激突!」を再放送中。
「必殺」シリーズは昔から好きでよくみていたんですけど、この「激突!」はみたことなかった。1991~1992年に放送された番組で、私もそのときには大学生とかでしたから、テレビはあまり見ないようになっていたのです。
しかしトシ食ってから時代劇が前にも増して好きに。大人になると子どものときとはものの見方や感じ方が変わってて、昔はものすごく面白く感じた「水戸黄門」などは今となってはまったく面白くない。子どものときはイマイチよくわからなかった「大岡越前」とか「子連れ狼」なんかは大人になってからみるとものすごく面白い。古いドラマなんかをみるとそういうことが多くて、自分がトシ食ったのを痛感するとともに、若い時はほんとなにもわかってなかった(今もそうだけど)なあ~と恥ずかしくなったり。音楽でもそういうことがよくありますね。
で、この「必殺仕事人・激突!」。「中村主水」が主人公である「必殺」はこれが最後。90年代になって映像もだいぶ小奇麗になって、それ以前の作品のようなダークさはだいぶ後退。なんとなく全体に「軽い」感じになってますね。
冒頭に入る前口上は徳光和夫さんが担当。語り口がなんか司会者みたいだし、あの独特の笑顔が頭に浮かんじゃって、「必殺」っぽいおどろおどろしさや暗さってものが全然感じられなくてかなり違和感。
それに「元締め」(表のカオは大奥のお中臈)からの指令で仕事人が動くっていうのもなんかイマイチ締まらないなあ~と。その「元締め」が下々のこと全然知らないから頼み人の言うことをなんでも真に受けてテキトーな指令ばっかり出すのも好きになれない。殺しのときの映像美はやっぱり凄くて、まあそこだけ見られれば満足ではあるんですけどね、やはり人気絶頂期の「Ⅲ」「Ⅳ」「Ⅴ」あたりに比べるとだいぶ見劣りする。
でも、滝田栄の演じる「山田朝右衛門」が異常にカッコいいのと、主題歌「月が笑ってらぁ」で聴かせる藤田まことの歌唱がスゴイ、っていうところは、こまごまとした不満点を全部帳消しにしてくれてる。
いかにも90年代っぽいアレンジもいいし、作曲の堀内孝雄の「らしさ」が全開のメロディも素晴らしいけれど、男の色気のただよう甘~い声は、上司や奥さんや姑に軽んじられているあの「中村主水」の姿からは想像もできないイケメンさ加減。これが「必殺」にふさわしい曲かっていうとちょっと疑問ながら、カッコよければそんなことは問題ではない。
時代劇の主題歌って名曲が多いんですよねえ。しかもその音源がなかなか手に入らなかったりするから困っちゃう。こんどそっち方面の記事も書いてみましょう。
川野夏美「裏窓の猫」
デビュー25周年イヤーの演歌歌手・川野夏美の新曲。
今回は徳久広司先生の曲か。一時はずっと弦哲也先生だった気がしますが最近は弦先生の曲はしばらくないんですね。
で、この「裏窓の猫」。ラジオで聴いてイッパツでブッ飛ばされ、速攻でCDを注文。こりゃあカッコいいですよ!
イントロのコーラスと泣きのギターですでにやられちゃう。そしてそれに続くエモーショナルな歌メロと、愛したひととの別れに揺れる女心の機微を圧倒的表現力で歌いあげる川野の歌唱の素晴らしさに悶絶させられること必至。なんとも言い表しがたい微妙な感情が込められた「ミャアと鳴く」はほんとうに味わい深い。何度も聴きたくなっちゃう。
弦哲也先生の王道演歌よりも、じつはこういう曲のほうがふさわしいのかな、という気もする。カップリングのジャジーな「灯りともし頃のセレナーデ」でも非常に表情豊かなスゴイ歌唱を聴かせてくれてる。めちゃくちゃ上手いなあ。どちらの曲もカラオケ難易度は圧倒的に高い。
2023年の演歌・歌謡曲ベストチューンは石原詢子の「五島椿」で決まり・・と思ってましたが、ここへきてとんでもなくカッコいい曲が出てくれちゃってわからなくなってきた。これは買わなきゃ損。
おススメ度・・・★★★★☆
INQUESTED「THE RED CHAMBERS」
ノルウェーのスラッシュ・メタルバンド、INQUESTEDの1st。2008年作。
ダサすぎるジャケットデザインからして、どうしようもないC級スラッシュを予想した私がバカでした。予想をいい意味で裏切ってくれる、ハイクオリティなパワー/スラッシュメタル!北欧っぽさはあんまりないかな。
↑この曲のリフなんかを聴くといわゆるNEW WAVE OF THRASH METALっぽい。でも、そのあとに入ってくるヴォーカルの声質がカッコいいのと、微妙に湿り気のあるダークなリフやメロディがあるおかげで、そこらのNWOTMバンドたちとは一線を画すサウンドになっている。
ヴォーカルは最初METALLICAのジェイムズ・ヘットフィールドにちょっと似てるかなと思いましたが、いやいやもっと強力。SATAN、PARIAHで歌っていたマイケル・ジャクソン(もちろんKING OF POPのあの人ではない)みたい、と形容するのが適当か。その強力ヴォーカルがまさにSATANやPARIAHみたいな湿り気のあるサウンドをバックにこれまた湿り気を帯びた声でガナりまくる。ガナリまくってるようで実はちゃんと歌ってる。これはカッコいいね!
基本的にはテクニカルなスラッシュ・メタル。しかし個人的には、PARIAHばりのメロディアスなパワー・メタル路線の曲をもっと増やして、ヴォーカルはもっとメロディを意識して歌ってもらって、どこまでも湿った歌メロを聴かせるスタイルをもっと突き詰めてくれたならもっと良かったかな。ネットでさがしても情報が出てこないんだけど、これ以外に音源出してないのかな?
おススメ度・・・★★★★
関連記事→平成初期に聴きまくっていたメタル名盤をふりかえってみる。その④~PARIAH編~
SABATON「ATTERO DOMINATUS」
スウェーデンのパワー・メタルバンド、SABATONの3作目。2006年。
このバンドの作品は取り上げたことがなかったっけ。探しても記事が出てこないのでたぶん書いてないんでしょう。
いや一応、だいたいの作品は聴いてるんですよ。男らしく勇壮なサウンドは私の好物ですからね。
でもこのSABATON、いつどれを聴いても、とにかく曲がだいたい同じようなものばっかりで印象に残るものがないんだなあ。男臭いコーラスがキャッチーなサビを叫ぶ曲が多いから、聴けば耳に残りそうなもんなのに、聴き終わるとほとんど覚えてない、ということばかり。CDを買ってもすぐに飽きて手放してしまうから1枚も持ってない。これは今回たまたまCDがまた手に入ったから聴きなおしただけ。
1曲だけ聴くと「なかなかいいじゃないか」ってなるけど、アルバム1枚聴きとおすとにかく飽きる。ヴォーカルの声域が狭いせいもあるのか、歌メロがとにかく平板。どのアルバムを聴いてもその印象はかわらない。
このバンドのスタイルを形容するのにMANOWARがよく引き合いに出されるけれど、MANOWARのような気恥しくなるくらいの大仰さがあるわけでもなく、胸に迫ってくる勇壮な歌メロがあるわけでもなく、破壊的なパワーやスピードがあるわけでもない。けっして悪くはないしカッコいい曲もある。でも残念ながら私にはこのバンドはムリ。
おススメ度・・・★★☆