1966年にみそ製造会社専務一家4人が殺害、放火されたいわゆる「袴田事件」で死刑確定し、半世紀以上も拘禁された袴田巌さんの再審公判。再審が決まったとき「方針を決めるのに3か月待ってくれ」と言っていた静岡地検は、信じがたいことに「法と証拠に基づいて十分な検討を重ねた結果、有罪立証を行うこととした」らしいですよ。
しかし検察は再審開始の決め手となった「(犯行着衣とされる)5点の衣類の血痕の色」について争う方針とのこと。いやいやいや、それって今までにさんざんやったことだろ。明らかに「時間稼ぎ」。これほどみっともないことがあるだろうか。こんな恥知らずな奴らが、ただ昔司法試験に合格したことがあるというだけで人に死刑だの懲役だのを要求していることに心の底から恐怖をおぼえる。カネで買収したりなにか弱みをつかんで脅したりした「専門家」を引っ張ってきて「血痕の赤みが残っても不自然ではない!」って言わせるつもりなのかな。
それにそもそも検察は犯行着衣は最初「パジャマ」とか主張してたのに、それが無理となったら味噌タンクから「5点の衣類」を引っ張り出してきたらしいが、それが袴田さんのものであるということが立証できてない(サイズも合わなかった)し、「返り血」の血痕も誰のものかウヤムヤだし、それでなんでやったのが袴田さんだという証拠になるのだろうか。衣類を証拠扱いすること自体がナンセンスなのでは?
これは大昔の事件だから今はそんなことない、っていうふうに思っている人がいっぱいいるようでそれも恐ろしいですが、こんなふうに捜査機関が勝手にストーリーをつくってそれに沿った調書をつくって容疑者にサインさせ、証拠もないのに(なければ捏造し)「こう考えても不自然じゃない」「これしか考えられない」というだけで有罪にされる、ということは今でもふつうに行われている。捜査機関や裁判所は自分たちを神だと思ってるんだろうか。神ならぬ身であると身の程をわきまえていればどこまでも「疑わしきは被告人の利益に」という姿勢になるはずだけど。
この検察の時間稼ぎ戦術に袴田さんの姉のひで子さんは「今さら2~3年長くなったところでどうってことない」と語ったそう。90歳にもなってこういうセリフが出てくるってのがあまりにカッコよすぎて、対する検察側のみっともなさが際立ってくる。国際的にもあまりに恥ずかしい検察の姿勢に対して、国民は「いいかげんにしろ」と徹底的に批判するべきでしょう。法相は「個別の事件には言及できない」とかのんきなこと言ってる場合じゃないよ。事の重大さを考えなさいよ。法治国家の「根幹をゆるがす」事態であり、これを放っておくことは許されないはず。
BLACK TORA「BLACK TORA」
USのヘヴィ・メタルバンド、BLACK TORAの1st。2014年作。
バンド名とジャケ絵からして正統派メタルを聴かせてくれそうな雰囲気で、中古でみつけてすぐに買いました。ここに貼った日本盤は先に出したEP「RAISE YOUR FISTS」もボーナスとして含んでいるお得なエディション。
メンバーの写真をみるとものすごく若そうだし、しかもアメリカのバンドだしなあ~。あんまり期待しすぎるとガッカリするかも・・・という心境でCDをプレイ。すると・・・
あれあれ~めちゃめちゃカッコいいじゃないか。ちょっとビックリするレベル。疾走する1曲目を聴いて、80年代寄りのパワーメタルって感じなのかな、と思いましたが、その楽曲のバラエティは実に豊か。いかにも80年代のアメリカンなメタルっていう曲もあったり、ブルージーなロックン・ロールもあったり。しかし一貫しているのは、どこまでもキャッチーな歌メロが楽曲を支配していること。そこへテクニカルなギターが聴かせるソロを絡めてくれる。
そしてヴォーカルの声がイイね。太くて雄々しくてソウルフル。言い方悪いけどあまりに若くてカンロクの感じられないヴィジュアルからは想像のつかない渋みのある、メジャー感たっぷりの素晴らしい完成度のアルバム。個人的にはあまり好きじゃないアメリカンなテイストも、曲がイイからまったく気にならない。これ以降の作品はないの?
おススメ度・・・★★★★
THRONE OF KATARSIS「HELVETE - DET ISKALDE MORKET」
ノルウェーのプリミティヴ・ブラックメタルバンド、THRONE OF KATARSISの2作目。2009年作。
Amazon.co.jp Helvete / Det Iskalde Morket
このバンドは以前に2013年のアルバムを記事にしました。ちゃんと覚えてます。この手のバンドでどんなアルバムだったか覚えてるってことは、そのクオリティは低くはなかったということ。
前に紹介したアルバムもやたらと曲が長かったけど、そこはこれも同様。いちばん短いので6分、アルバムタイトル曲はなんと17分。まあフツーの人には全部同じ曲にしか聴こえないだろうから、どれだけ長くてもカンケーないといえばそのとおりかも。
そして劣悪なサウンドプロダクションも相変わらず。「ザ・プリミティヴブラック」という感じですが、このアルバムに関してはわりとわかりやすいというか、とっつきやすいサウンドになっていると感じます。曲によってはBATHORYみたいだったり。
しかし、聴き手に死を選ぶことを要求するような印象的な鬱メロディはここでも随所に挿入されていて、そこが「よくあるプリミティヴブラック」という一言で片づけられない魅力になっている。17分の曲の冒頭のクワイア(?)みたいな声はほんと気持ち悪くて絶望的な気分に。マニア向けであることは間違いないけれども、マニア以外が聴いてもなにか感じられるものがあるかも。
おススメ度・・・★★★☆
MOTIONLESS IN WHITE「WHEN LOVE MET DESTRUCTION」
USのメタルコアバンド、MOTIONLESS IN WHITEの2009年発表の6曲入りEP。
Amazon.co.jp When Love Met Destruction
USのメタルコアかあ。それがわかっていれば買うことはありませんでしたが、安く買ったCDの山の中にあったから聴いてみたのです。どうせ時間の無駄になるんだろうなあ・・・
・・・という予想はバッチリ的中。全部同じ曲にしか聴こえないし、ヴォーカルはただウルサイだけ。いつもの言い方をするなら、「メンバーはよく曲を覚えられるね」。
まあフツーの人からすればさっきのTHRONE OF KATARISISみたいなプリミティヴ・ブラックのほうが「よく覚えられるね」なんでしょうから言っても仕方がないことでしょうが、とにかく私には耐えられない種類のサウンド。いっぱい聴いてるうちに「おお!こんなカッコいいメタルコアがあったのか!」みたいなことになるかもしれない・・と思っていちおう手を出してみるけど、いい方向に期待を裏切られたことは一度もない。頼むから滅んでほしい。
おススメ度・・・★