保釈中の被告の海外などへの逃亡を防ぐため、保釈した被告にGPSを装着させることを可能とする刑事訴訟法の改正案参院で可決成立したそうです。
“保釈中の被告にGPSの装着も” 改正刑事訴訟法が可決・成立
これまでは「保釈金」(保釈中に被告が国家に預けるカネ。逃げれば全額没収となる。被告が「それを取られては困る」っていうくらいの金額を預けさせることで保釈中の逃亡を防ぐ。だから金持ちは当然大きな金額になる)によって被告が逃げないようにしていたわけですが、最近は保釈金を融資する業者などもいるらしく、この制度にはちょっと無理があるよね、ということらしい。
これは日産自動車の経営者だった銭ゲバ外人、カルロス・ゴーンにまんまと逃げられたことに端を発しているのは間違いのないところ。しかしあの件はどう考えても、天文学的金額の財産があってしかも「逃亡や証拠隠滅の恐れ」がめちゃめちゃあるのが明らかなゴーンみたいな野郎の保釈を「外圧」に屈して許した裁判所がマヌケだったのと、出入国管理がまるでザルだったってのが問題で、保釈金制度が云々とかいう話じゃないでしょう。楽器の箱に隠れて逃げられました~、ってどんだけボケッとしてんだよ、っていう話をまずしなさいよ。
まあGPS装着を条件に保釈へのハードルが低くなる(被告は無罪が推定される存在なのだから保釈は基本的に認められるべきもの)のならばそれはそれでいい、という向きもあるでしょう。しかしすでに言ったように被告人は無罪を推定される存在であり、違法行為をせずそして裁判にちゃんと出廷さえすれば保釈中にどこへ行ってなにをしようがとがめられるべきものではないはず。なぜ「裁判を待っている身」というだけでGPSなんかつけさせられて監視されなければならないのか。なぜ「被告は逃亡するかもしれないから」と決めつけるのか。ゴーンみたいなカスはほんの一握りのはずだが、なぜ「被告は必ず逃げるし証拠隠滅する」という前提で話をすすめようとするのか。
それはやっぱり、保釈中の監視を強化することで検察・警察が仕事をしやすくなるから、っていう一点だけでしょう。そもそもGPSで監視するって、いったい誰が監視するの?警察?検察?被告と検察は裁判においては対立する関係であり、被告は検察の手の内なんかもちろん知らないのに被告の行動は検察が全部把握できるってのはあまりに被告に不利になるし、推定無罪の原則を踏まえれば捜査機関にそんなことが許されるべきではない。かといって裁判所が24時間監視するのはそもそもムリだろうし被告に対しても原告に対してもフラットであるべき裁判所が被告だけを監視するってのも理屈に合わないし許されないはず。
いずれにしろこんなことは一度認めてしまったら検察や警察はなにかと理屈をつけて拡大解釈し濫用するに決まってるわけで、捜査機関の権限を拡大し被告の権利は逆に縮小させるようなこういう法律はつぶさなくてはならない。でもそういう法律だけは異常なスピードでもって決めちゃうのが日本の詐欺政権なんだなあ。
BURNING WITCHES「THE DARK TOWER」
スイスの正統派ヘヴィ・メタルバンド、BURNING WITCHESの、先日発売されたばかりの5thアルバム!
このバンドをとらえていちいち「オール・フィメールバンド」だの、ひどいのになると「ガールズ・メタル」「嬢メタル」とか表現するアホなメディアもあるようですが、もはや男だの女だの、そんなことにいちいち言及する必要は1ミリもない、どこまでも硬派なヘヴィ・メタルを聴かせ続けている素晴らしいバンド。
これまでの4作品の、どこからどう聴いても「ヘヴィ・メタル」としか表現しようがない強靭なサウンドを体験すれば、もう「絶対に裏切られることはない」という確信を得られるのは間違いなくて、私も当然予約してCDを購入!
今作もいままでと変わらず、アグレッシヴなパワー・メタルで全編埋め尽くされている。JUDAS PRIEST、今作はとりわけ「PAINKILLER」アルバムを彷彿とさせるスピードとアグレッションで重苦しく攻めまくる作風になっていると感じました。個人的に気に入ったのはまさにそれっぽく暑苦しくヘヴィかつキャッチーな「Evil Witch」、そしてこれまたPRIESTの「Judas Rising」みたいな雰囲気の「World On Fire」、ドラマティックでエピカルな「Into The Unknown」といったところの曲でしたが、どの曲ももれなく「メタルはこうであるべきだよなあ!」と快哉を叫びたくなるものばかりで、その充実度はハンパじゃない。これまででいちばんいいかも。METALLICAの新作みたいな眠たい音楽ではなくこういうのが世界的大ヒットになって、若い層に「ヘヴィ・メタルってのはこういう音楽なのか」と認識されてほしい。
ちなみにNapalm Recordsから出てるボックス入りの「リミテッド・エディション」にはOZZY OSBOURNEの「Shot In The Dark」とW.A.S.P.の「I Wanna Be Somebody」のカバーが収録されているボーナスCDがついているらしいが、私が買ったワードレコーズ発の国内盤にはそれら2曲は入ってなかった。ワードレコーズのサイトにはリミテッド・エディションが載ってなかったけど、国内発売はないの?毎度毎度カッコいいカバーをやってくれてるのでぜひとも欲しいんだけどなあ。
おススメ度・・・★★★★☆
IZEGRIM「CODE OF CONSEQUENCES」
オランダのメロディック・デスメタルバンド、IZEGRIMの3作目。2011年作。
Amazon.co.jp Code of Consequences
こちらも女性のヴォーカルとベースを擁するバンド。予備知識なしで聴いてヴォーカルが女性だとは気がつかなかった。若干爬虫類系の高めのデス声だから、言われてみれば・・・という気はするけど、そのアグレッションはすさまじい破壊力を持っている。
一聴して「ARCH ENEMYみたいだ」という印象。ダークでメロディックなリフがスラッシュ・ビートに乗って疾走する。その意味で「このバンドならでは」っていうところは感じられなかったものの、ものすごくハイクオリティであることは間違いない。ARCH ENEMYのような胸に迫る泣きのメロディがもっとあったら良かったなあ。
おススメ度・・・★★★☆
TANKARD「THE TANKARD」
ドイツの酔いどれスラッシュ・メタルバンド、TANKARDの7作目。1995年作。
やれテクニカルだのプログレッシヴだのコンセプトだのとは無縁の、ただひたすら直球で速くウルサく明るいスラッシュ・メタルを聴かせてくれるTANKARDは私の好きなバンドですが、そのカタログを全部網羅できてない。このアルバムもたまたま未聴で今回初めて聴きました。
う~ん、今作あたりからメンバーが入れ替わってギタリストがひとりになった影響か、もしくはグランジの興隆によって衰退していたヘヴィ・メタル界のありさまを反映してか、あのハチャメチャなバイタリティがあまり感じられない、迷いのみえるサウンドになっている気が。速い曲ももちろんあるけれど、そのエネルギーはなんか控えめで元気がないような印象。こんな作品もあったのか。90年代なかばといえばあのKREATORあたりですら音楽的に迷走していたヘヴィメタル暗黒期だから仕方がなかったのかも。TANKARDの作品だと思って聴かなければ悪くない。
おススメ度・・・★★★