いわゆるLAメタルの思い出の名盤の話の続き。
今回はいまも現役で活動している
LIZZY BORDENの、1986年に発表されたライヴ盤、
「THE MURDERESS METAL ROAD SHOW」。
前の記事→思い出の名盤:LAメタルの傑作といえば・・・コレを忘れていた!「W.A.S.P.」/W.A.S.P.
で、「見た目で判断すると損することもある」と書きましたが、
このバンドも見た目で「グラム・メタル」と思い込むと大間違い。
その正統的ヘヴィ・メタルのカッコよさにKOされることになります。
全然「American Metal」じゃなかった
LIZZY BORDENは、ヴォーカリストのLizzy Bordenが中心人物である
米国のヘヴィ・メタルバンド。
80年代当時、ALICE COOPERのようなシアトリカルなライヴパフォーマンスと
イメージが話題になりました。
↑今回紹介するライヴ・アルバムの裏ジャケット。
ライヴでは左上に写ってる美女を斧で殺して
生首を掲げる演出をするんですけど、
その首がチープなマネキンでちょっとがっかりしたりもします・・・。
が、このバンドの真の注目点はシアトリカルなパフォーマンスではなく、
およそLAメタルというイメージからはかけ離れた
あまりにも正統的な音楽性。
ビジュアル的なイメージはALICE COOPERやKISSという感じですが、
音楽性はIRON MAIDENやJUDAS PRIESTに近く、まさに私好み。
はじめて聴いたのは高校生のとき、デビュー・フルレンス・アルバムの
「LOVE YOU TO PIECES」。
amazon.co.jp LOVE YOU TO PIECES
高校の時、友達から「コイツは凄いぜ・・」と勧められたのですが、
私はメンバーのビジュアルやアルバムジャケットのデザインなどをみて
「どうせ、どポップで軟弱な商業LAメタルなんだろ」と拒否反応を起こし、
まったく期待せずに聴いたのです。が・・・
流麗なツイン・リードが疾走する「Council for the Cauldron」、
まるっきりIRON MAIDENな「Red Rum」の
カッコよさに完全にヤラレました。
「American Metal」というメタル・アンセム的な曲もあるんですが、
全体的に全然アメリカンじゃない。
ハイトーンで常にフラット気味なリジーのヴォーカルはちょっと気になったものの、
IRON MAIDENがメタルへの入り口だった私がこのサウンドを気に入らないはずがなかったのです。
ライヴ盤がアツくて素晴らしい
で、今回「名盤」としておすすめしたいのはライヴ盤のほう。
映像作品も出ています。
amazon.co.jp Murderess Metal Road Show
私は発売からだいぶ後に中古盤店でアナログ盤を入手しました。
見開きジャケットで2枚組、
ジャケットに使われているメンバーの写真は画質がイマイチで
海賊盤みたいな雰囲気ですが、それもライヴのアツさを伝えていて悪くない。
演奏は若干粗さが目立ち、リジーのヴォーカルも不安定なところがあるんですが、
(たぶん)後から録りなおしたりとかはまったくやってないんだろうな、
という生々しく勢いのある演奏はド迫力。
これぞライヴ、これぞメタル。
各メンバーは全員かなりのテクニシャン揃いなので、
多少のミスはあっても「あ~あ・・・」というところは全然ないし、感じさせない。
楽曲はIRON MAIDENのような疾走感のあるメタルでありながら
すぐに覚えてシンガロングできちゃいそうなキャッチーさをもつものばかり。
楽曲の充実度、ライヴのアツさ激しさ生々しさ勢い、どれをとっても
メタルのライヴ盤の最高峰に位置する作品だと思います。
私にとっては、学生の頃まさにレコード盤がペラペラに薄くなるくらい聴き込んだ、
思い入れのある作品です。
未聴の方はぜひとも買って聴いてみていただきたい。
これを廃盤のままにしているMETAL BLADEはバカ。
久しぶりの新譜が発売予定!
で、そのLIZZY BORDEN、
なんと実に11年ぶりの新譜が6月に出るらしいのですね。知りませんでした。
amazon.co.jp My Midnight Things
2007年の「APPOINTMENT WITH DEATH」も
若々しく勢いのあるメタル作品だったので、
今回もそのままで行ってくれれば・・・と思うんですが
どうなるんでしょうか。
機会があればこのアルバムのレビューも記事にしてみようかと思ってます。
新譜はともかく、「THE MURDERESS METAL ROAD SHOW」は
メタル史にのこる名作中の名作ライヴ!
強くおススメしつつ、今回はこのへんで。