USの超ベテランハードロックバンド、BLUE OYSTER CULTが「40年以上前にレコーディングした音源をAI(人工知能)の助けを借りて完成させたアルバムをリリース」するという話。
いわゆる「デミックス」(音源から特定の音だけを取りだして分離する)のにAIを使ったということらしい。THE BEATLESもこれをやったっていう話もありましたが、これからはこういうのがどんどん増えていくことになるのかな。
まあデミックスするだけならべつにいいと思うんですけど、作詞作曲や演奏をAIにやってもらうっていうのもこれから増えてくるんでしょうかね。「カッコいいリフを書いて」とか言えばそれらしいリフをつくっちゃうのも可能になってくる(いますでにできる?生成AIとか使ったことがないからわからない)んだろうか。「カッコいい」では抽象的すぎるとしても「AC/DCっぽいリフ」とか「マイケル・シェンカーっぽい泣きのソロ」とか言えばAIは学習してそれっぽいのをつくれちゃうのかな。
最近はネットでも「ああこれはAIに書かせたな」と感じる文章が載ってるサイトを見かけるようになってきましたが、音楽の世界でもひょっとしてAIで書かれた曲をそうとは知らされずにすでに聴かされているのかもしれない。するとますます音楽はつまらないものばかりになっていきそう。デスメタルの歌詞なんかはあまり意識して聴いてないからAIに書かせてもいいっていえばいいけど、曲はAIに書かせたら確実につまらないものしかできないでしょ。過去に出た曲のなかから学習するんだから、「どこかで聴いたようなもの」にしかならないのでは。
まあ人間が書く場合でも、その人が過去に聴いた音楽からの影響をゼロにすることはできないわけか。しかしやっぱりオリジナリティが出る可能性は人間がやったほうが絶対に高くなるはずだよなあ。いまのところ文章ならこれはAIだってわかるけれど、音楽の場合は判別できるかどうか自信がない。たのむから曲は人間が書いてほしい。
MYSTIC PROPHECY「SAVAGE SOULS」
ドイツのパワー・メタルバンド、MYSTIC PROPHECYの4作目。2006年作。
「嫌いじゃないけれど印象的な作品が少ない」と前に言及したことがあるバンド。といっても、ちょくちょくメンバーが変わったりするものの、どこまでも正統派のヘヴィ・メタルを追求するスタイルは不変。このアルバムもメロディアスかつドラマティックな漢パワーメタル満載。
思うにこのバンドの魅力はイイ感じにしわがれたヴォーカルにあるんじゃないか。この声が硬質なリフとからみながら疾走するサウンドは、暑苦しいんだけど爽快な気分をくれる。要所に挿入される抒情メロディに胸を打たれつつ気持ちよくヘドバンできる快作!メタルはこうでなくちゃいけない!
おススメ度・・・★★★★
MASTERMIND「TO THE WORLD BEYOND」
高品質なパワー・メタルをもういっちょ!
日本のメロディック・パワーメタルバンド、MASTERMINDの3作目。2004年作。
予備知識なしで聴いて、冒頭のまるっきりイングヴェイな序曲で「そういうタイプか」と思ったら、たしかにすさまじい速弾きのギターがクラシカルなメロディを聴かせてくれるものの、いわゆるネオクラよりももっとパワーメタル寄りでした。
で、ヴォーカルが入ってきて「あれえ~、HELLHOUNDのCrossfireにソックリ!」と思ってビックリ。いやいやソックリっていうかどう聴いても同じ人だよなあ、とよく調べてみたらやっぱり本人だった。いやあ恥ずかしながらこっちは知らなかった。
そのCrossfire、いやこっちではNorio Satoのキョーレツすぎるハイトーンと超絶速弾きギターとがバトルするかのような、エキサイティングでちょっとクラシカルなヘヴィ・メタル。いやあこれは・・・めちゃめちゃカッコいい! 華麗な演奏に似合わない、HELLHOUNDっぽくも感じる男臭いコーラスもイイ!キャッチーかつ胸に迫る歌メロと雄々しいコーラスとツイン・リードのハモリがものすごくHELLHOUNDっぽい「Loud & Proud」がいちばん気に入りました!
こんな素晴らしい作品が20年も前に出てて、それをいままで聴かなかったってのは一生の不覚・・ってHELLHOUNDを聴いた時も同じこと思いましたけどね、とにかくこれは聴いてよかった。ほかの作品もすべて買い集めなくては!
おススメ度・・・★★★★☆
→今週聴いたもの:2023年6月22日~6月28日(HELLHOUND、SHATTER SILENCE、RE-ARMED)
TWINSPIRITS「THE FORBIDDEN CITY」
イタリアのプログレッシヴメタルバンド、TWINSPIRITSの2作目。2009年作。
Amazon.co.jp The Forbidden City
プログレッシヴメタルときくと、その手のサウンドが基本嫌いな私は身構えてしまう。たまたま手に入ったから聴くことになりました。ジャケ絵やバンド名からいかにもって感じで、どうせテクニックや複雑な曲展開をひけらかしてドヤアっていうバンドなんだろうなあ・・・
と期待しないで聴いたら、そんなに悪くなかった。DREAM THEATERとかに近いスタイルなのかな。テクニカルな演奏だけれど、それをひけらかして終わりのマスターベーション・メタルで終わってないと感じるくらい、ちゃんと聴ける曲がたくさんある。雄々しくのびやかなヴォーカルはソウルフルな歌を聴かせてくれるし、こういうのがたまにあるからプログレッシヴなんちゃらだからといって聴かないっていう食わず嫌いはしてはいけないんだな。といってものすごく印象的な曲があったかっていうとそうでもないかな。プログレッシヴ系が好きなら満足できる作品でしょう!
おススメ度・・・★★★☆