「ご当地ソングの女王」として、演歌になじみのない方にも名前は広く知られている、まさに演歌界の第一人者となっている水森かおり。
私も彼女のファンであると公言しているもののひとりですが、デビュー時から追いかけていたわけではないし、まだ「ご当地ソングの女王」としてブレイクしてなかった初期の音源などには今となってはなかなか入手困難なものも多く、そのカタログを全部チェックすることはできてません。
そんなふうに入手困難な初期音源のなかのひとつ、1997年1月に東京・北とぴあ さくらホールにて開催された水森のファーストコンサートの様子を収録したアルバム「水森かおりファーストコンサート 女だから...第一章」を、先日ようやく手に入れて聴いたので、その感想を書いておきます!
Amazon.co.jp ファーストコンサート~女だから・・・第一楽章
「初々しいお色気」のある歌唱が聴ける。歴史に想いをはせられる貴重盤!
今となっては最も知名度の高い演歌歌手のひとりとなり、「ご当地ソングの女王」と言われれば多くの人が「ああ、あの人ね」となるまでになった水森にも、まだまだこれからという新人の時代があったのは当然。
私は水森のそういう時代は知らないので、まだデビューしてから1年半という時期に行われたはじめてのコンサートの様子を収録したこのCDはいつか聴きたいと思っていたものでした。
しかし初期作はまだそれほど売れてなかっただけに流通も少なく入手困難なため高価であり、なかなか手が出なかったのです。それが先日偶然手に入り歓喜。高かったですけどね。徳間ジャパンはなぜ再発しないのか。
1997年1月20日、東京都北区の北トピア さくらホールにて行われたコンサート。
東京都北区は水森の出身地。このコンサートの中でも「私が生まれ育ったのはこのホールからバスで10分のところです」と言及されている。何度かはさまれるMCでは、デビューからわずか1年チョイで、生まれ育った場所でコンサートをやれた、という感激が伝わってきます。
この時点でシングルは「おしろい花」「よりそい花」、そしてこの日に発売されたらしい「北夜行」の3曲だけ。まだ「ご当地ソング」も出してないし、当然「歌謡紀行」アルバムも出してない23歳。若手も若手、まだまだ演歌界では小娘という時代だったんですね。
しかし、その時点でワンマンで、生バンド演奏を伴ってコンサートを開催、そしてその内容をアルバムにして売ろうなんていう話になったんだから、(今よりも演歌もCDも売れた時代だったとしても)レーベルや事務所、いや演歌界が彼女に寄せていた期待は大きかったんだな、というのはわかる。
曲は当然カバーが大半。歌唱はさすがにすでに完成されていて(今とは違う味ではあるけれど)、「若い」とは感じても「青臭い」などということはないってのはさすが。
しかしMCに関しては台本をなぞって一生懸命にやってるという感じで緊張してるのが伝わってくる。そこは今とはまったく違うところですね。こんな初々しい時代があったのだ。それを追体験できるという意味でこれは貴重な作品。
司会の金子ひとみが水森について「初々しいお色気がある」という表現をして拍手が沸き起こるシーンが。今もし(今の専任司会者の)西寄ひがしが「初々しいお色気!」とか言ったらお客さんは「ここは笑うところだな」と思ってしまうところでしょう。「色気」はともかく「初々しさ」ってのは今はないですもんね。
これはぜひとも再発してほしい素晴らしい作品!ラストの「あなたの空を翔びたい」では感極まって涙声になってて、プロとしてはあってはいけないことだとしても、聴いてるほうも涙出てきちゃう。このときのお客さんのなかに、彼女がのちに紅白の常連、押しも押されもせぬ有名歌手になると予想していた人はどれだけいただろうか。このコンサートを聴いてると、そういう人はそんなに少なくはなかったんじゃないかという気がしてくる!
中古品をみつけたら即GETすべし! まだ「鳥取砂丘」も「松島紀行」もなく、「ご当地ソングの女王」でもない、演歌歌手水森かおりの「第一楽章」を聴けます!最終章は永遠に来ないでほしい!