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今週聴いたもの:2021年8月26日~9月1日

北九州市の凶悪暴力団のトップふたりに死刑判決と無期懲役判決が出た件。

死刑判決となったトップは、判決後に裁判長に「全然公平じゃないね。あんた生涯後悔するよ」と捨て台詞を吐いたとか。

「司法・公権力はインチキするもの」ていうことくらいは、日ごろから警察官と付き合いが多いであろう暴力団の人は承知してるはずですから、この発言はおそらく「思わず出た」ってことなんじゃないか。それくらい「ありえない」と思ったんでしょう。私も、かの団体がどれだけ非道なことをやってきたかを知っても、まさか死刑とは思わなかった。

まあ刑事裁判なんかが公平なわけがないのは今に始まったことではありませんけどね。これは相手がヤクザでも一般民間人でも関係ない。たとえば金持ちなら執行猶予になるが貧乏人なら実刑になる、などということは(結果として)当たり前に起こるのが刑事裁判というものです。それに司法に携わる者たちもフツーにウソをつくということは、これまでにさんざん見せられて実証済み。しかし大部分の国民がそこを理解せず(もしくはすぐ忘れる)「警察官や裁判官や検察官などのエライ人たちがウソをつくわけない」と思っちゃってるから、いつまでたっても日本は死刑を廃止できないし、こんなムリヤリな裁判が行われても「まじで?」という声が出てこない。どこをどう考えたら、そんなにお上を信用できるんだろう。不思議で仕方がない。今回は被告が非道ヤクザだからなおさら、「この裁判は問題があるのでは?」っていう声はまったく出てこない。

一般市民に対してあれだけのことをやらかしたヤクザの肩を持つ気は毛頭ないけれども、まあ今回の裁判が「公平」だったかというと、どう考えてもそれは「否」でしょう。だって、そもそもこの種類の裁判は「裁判員裁判」になるはずなのに、裁かれる対象が凶悪ヤクザだからって裁判員を参加させるのをやめたらしいですよね。それはおかしいでしょ。こっちの事件の被告は凶悪じゃないから裁判員裁判、こっちの被告は凶暴だから裁判官で裁判、なんて、法の下の平等もへったくれもない。これが仕方がないことなのなら、裁判員裁判の制度自体に問題があるんでしょ。もうやめてしまえ。

それに、またまた「直接証拠なし」での死刑判決。凶悪ヤクザをなんとかしなければならない気持ちはわかるけれども、確実な証拠もないのに「証拠はないけど、フツーに考えてお前がやったっていうことを否定する材料ないよね」っていうだけで有罪にできるんなら、もうなんでもありでしょ。「お上に逆らう奴は死刑」ていうのがお手軽にできちゃう。それも今に始まったことではないですけどね。和歌山カレー事件とか伊東市干物店強殺事件とか、「こんな証拠で死刑?」っていう事件はいっぱいある。

なにがなんでも有罪にしたい→直接証拠がないから状況証拠で起訴→状況証拠?そんなもんで立証になるか!と裁判所が却下→有罪にできない、っていうのが本来の姿のはず。直接証拠がつかめなかったんだったら、そりゃあ警察検察の負けってことでしょ。国家権力が負けるわけにはいかないからって、警察や検察の権限をどんどん拡大し、裁判所は状況証拠でも採用して有罪にしちゃうっていうのは、とてつもなく恐ろしいこと。状況証拠だけで死刑とか、ここは北朝鮮や中国なの? ゴーンが逃げた気持ちも(あいつはヤクザより許せないけど)わかる気がします。

いずれにしろ私は死刑には明確に反対なので、控訴審では無期懲役になることを期待しています(くりかえすが私はヤクザの肩を持つつもりはない)。社会的に脅威である人間なんだったら、仮釈ほぼ不可能の無期懲役で刑務所に突っ込んでおけばいいだけです。シャバに残った彼の団体の残党たちも、二度とシャバに出てこれない親分に忖度してコトを起こしたりしないでしょうし、そこは警察が頑張るべき問題。

藍美代子「わたしの四季」

70年代から歌手として活動、現在もジャズを歌ってる藍美代子のアルバム。1973年作。

Amazon.co.jp わたしの四季

 

まだ幼いときに聴いた「星の子チョビン」のエンディング曲「星のしずくの子守唄」が猛烈に印象に残っていて(アニメ自体の話は全然覚えてないのに)、それを歌っているのが藍美代子という人であることを大人になってから知りました。

↑作曲は故平尾昌晃氏。昭和のアニメ楽曲のクオリティはほんとに異常。

 

大人になってから彼女のシングル曲などを聴き、そのたびに哀愁の美声にシビれることに。このアルバムは代表曲「ミカンが実る頃」とそのB面曲「風小僧」以外は全部カバーというアルバム。程度のいい紙ジャケ仕様があったら欲しい(現在廃盤)と思っていたら先日ようやく見つけたので即ポチ。

最近はジャンルを問わずどいつもこいつも、カネのために安易なカバー集を「歌ってみました」的なクオリティで出す歌手やバンドが多いので、私は「カバーアルバム」自体に否定的なんですが、これはそんなレベルじゃなかった。マジで凄い。原曲がどれもこれも素晴らしい曲だから、っていうのももちろん大きいけれども、どの曲も完璧に、藍美代子独自の世界に引きずり込まれる。バックの演奏とかアレンジとかの効果ではなく、歌声のパワーだけで世界をつくっちゃってる。

昭和の作品だから当たり前だけど、その音世界に引き込まれると、ガキだった昭和のころの自分やそれを取り巻いていた家族や友人や学校の記憶がよみがえってきて、汚れた自分にもまだ純真だったときがあったことを思い出して、もう戻れないと思うと泣けてくる。

これはもう現代の「歌ってみました」レベルのカバーとは格が違いすぎる。原曲の良さをそのままに、それとは別の次元の感動で心が震わされる。「瀬戸の花嫁」などではめちゃめちゃかわいい歌声を聴かせる一方で、「忘れな草をあなたに」「見上げてごらん夜の星を」などでは、私以上の世代であれば落涙すること必至の哀愁を炸裂させちゃう。

 

こういう素晴らしい曲がいっぱいあって、それをこういうレベルで歌う人がほかにもゴロゴロいた昭和時代っていうのはほんとに凄い時代だったんだなあ~と再認識。これくらいの実力がある人だけが、カバーアルバムをつくる資格がある。

おススメ度・・・★★★★★

PAGAN REIGN「ANCIENT FORTRESS」

ロシアのペイガン・メタルバンド、PAGAN REIGNの4作目。2006年作。

Amazon.co.jp Ancient Fortress

今も活動しているらしい。ペイガン・フォーク・メタルという呼称で差し支えないサウンドで、まあ私としてはあまり好きじゃないタイプ。前に聴いた2004年の2ndアルバムはもっと速くてアグレッシヴでやかましい曲が多かった印象だった記憶があるけど、このアルバムは少しスローダウンしてフォークなメロディが多めになっているかな?

実は2ndアルバム聴いたときは「つまらん」と思ってその後二度と聴かなかったのであまり覚えてないのです。この4thはそれに比べればだいぶ進歩してるという印象でした。まあ悪くはない。

しかし、このヴォーカルがなあ・・・。クォーソン(BATHORY)とかが好きなのかもしれないけど、クォーソンだってバイキングメタル時代にはそこそこヴォーカルラインには気を遣ってキャッチーなものもあったのに、このバンドはただひたすら同じように喚いているだけ。頭悪そうにしか聴こえない。だから曲の印象が薄いんだなあ。このアルバムも二度と聴かないかも。

おススメ度・・・★★☆

BIO-CANCER「TORMENTING THE INNOCENT」

ギリシャのスラッシュ・メタルバンド、BIO-CANCERの2作目。2015年作。

Amazon.co.jp Tormenting the Innocent

 

B級スラッシュです!と自己紹介してるようなジャケ絵に惹かれて購入。聴いてみますと、意外や意外、楽曲も演奏もクオリティはかなり高い。

 

しかし惜しむらくは、やっぱりヴォーカルだなあ。アヒル系の甲高い吐き捨て声は迫力不足。新世代のスラッシュバンドにはヴォーカルに問題があるのが実に多い気がします。そのうえ印象的なヴォーカルラインを書くことを意識しない(できない)から、どの曲も同じに聴こえる。タイプは違うけどBONDED BY BLOODなんかもヴォーカルと歌メロをもっとなんとかすればさらに飛躍できるのに。ポール・バーロフ時代のEXODUSもただ喚いているだけのようで実はものすごくキャッチーだったわけで、そのへんを聴いて勉強するべきじゃないかなあ。

おススメ度・・・★★★☆

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