私がヘヴィ・メタルに初めて触れたのが1984年ころ。そこからメタルにハマってかたっぱしから聴いていきました。感受性が(少なくとも今よりは)豊かだったし記憶力もよかったから、当時聴いたものというのは、今聴くとたいしたことない内容のものであっても多くが耳にこびりついています。
そんななかの1枚が、今回紹介するドイツのスラッシュ/スピードメタルバンド、IRON ANGELのアルバムでした。1stアルバム「HELLISH CROSSFIRE」はまさに「今聴くとツッコミどころがいっぱいあるが当時は大好き」で聴いた作品。いまも好きですけどね。
そのアルバムについてはまた別の機会に書くつもりでいますが、今回はそのIRON ANGELがいちど活動停止後にながい沈黙をやぶって再結成し2018年に発表した3作目「HELLBOUND」を聴いたのでそれについて。
IRON ANGEL 「HELLBOUND」
今回これを聴いたのは、初期作からヴォーカルをつとめていたディルク・シュレーダーさんがさる3月に死去したというニュースをみたから。心よりお悔やみ申し上げます。まだ50代だったのに。
それで、いままで聴いてなかった、再結成後のアルバム2枚を急ぎ買って聴いたのです。まあ大好きだった1stはともかく2ndはアレだったので内容には期待してなかったんですが。
あいかわらずジャケ絵はなかなかそそられるものがありますね。聴いてみますと、1stのようなスラッシュ・メタル然としたスピード・リフが聴ける曲もあるものの、キャッチーなメロディを配置した、どちらかというといわゆるジャーマン・パワーメタル的な趣の作品になっていました。
う~ん、なんかACCEPTとかメロディックになってからのGRAVE DIGGERとかみたいだ。ディルク・シュレーダーさんのヴォーカルは80年代のころの、カイ・ハンセンみたいなヒステリックなハイトーンを使わず、じつにフツーのオッサンの声で歌っている。
86年の2作目もスラッシュメタル風味が薄くなって正統派メロディックメタルに接近していましたが、その路線が継承されている感じ。2作目よりはスラッシュらしさが復活しているかな。2曲目「Judgement Day」なんかはだいぶスラッシュ味。そのへんは意識してやったのかもしれないが・・・。
けっして悪くないし、トシをとっても硬派で速いメタルをやってくれてることには感謝したいし敬意を表するけれど、1stの勢いやパワーのあふれる、冷酷ですらあるスラッシュを期待して聴くとやっぱりちょっとガッカリはするかも。血の通ったアツいロックアルバムになっている。初期を知らない人が聴けばじつに真っ正直でメロディアスなパワーメタルだ、と気に入るかもしれませんが、私は冷酷無比なアグレッションをたたきつけてほしかったので・・・。
先入観を排して聴けば楽しめるメタルアルバム! 次回もIRON ANGELの作品を聴きなおしましょう。
おススメ度・・・★★★☆