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思い出の北欧メタル名盤④:PRETTY MAIDS「RED,HOT AND HEAVY」

私がガキの頃に感化された名盤をふりかえる記事。しばらくサボっていましたが、私もかつてそうだったように、かぎられた時間と予算のなかで「まずなにを聴くべきか」という問題の答をもとめるっていうのはいつの時代でも多くの人が考えることで、検索によってこのブログの「名盤」の記事にきてくださる人は少なくないので、続けていかなくてはならない。

ということで今回は「北欧メタル」の名盤の続き。デンマークを代表するヘヴィメタル/ハードロックバンド、PRETTY MAIDSの初期作、「RED,HOT AND HEAVY」。

冒頭の劇的展開にノックアウトされた

「RED,HOT AND HEAVY」は1984年発表の1stフルレンスアルバム。

Amazon.co.jp レッド・ホット&ヘヴィ

あまりにもダサいジャケットがステキ。ドイツのSTORMWITCHとかTRANCEとかのB級勢をを彷彿とさせる。そして音もそのあたりのジャーマン系っぽい要素もあってジャケのイメージにわりと近い。しかしPRETTY MAIDSの場合、内容の素晴らしさはB級どころか超A級でした!

 

私がこれに出会ったのはたしか1985年ころ。高校に入ってメタルに詳しい友達ができて、その彼に「JUDAS PRIESTの『SCREAMING FOR VENGEANCE』とかIRON MAIDENの『KILLERS』みたいに、大仰な序曲からバーンと始まるのっていいよね・・・」なんていう話をして、その彼が「だったらこれは最高にイカシてるぜ」と貸してくれたのがこのアルバム、だったと記憶しています。

レコード(カセットテープだったかな?)をプレイするとそこから聴こえてきたのは、まさに大仰も大仰すぎる荘厳なイントロ。それがカール・オルフのカンタータ「カルミナ・ブラーナ」の冒頭部分であることは無知な高校生の私は知りませんでしたが、そこからつながる「Back To Back」の鋭利かつパワーあふれるリフが始まるともう私は完全にノックアウトされていた。

ぬお~カッコいい! 今でいうところのまさに「メロディック・パワーメタル」然としたスピードとパワー、そしてロニー・アトキンスの適度にダーティかつ強烈無比なヴォーカル。この流れは当時の私の「大仰な序曲からバーンとはじまる曲」「速くてアグレッシヴな曲」を聴きたい、という欲求を完璧にかなえてくれた名曲!

ヘヴィな曲もポップな曲も、キャッチーな佳曲で埋め尽くされた名盤!

しかしまだ北欧がメタル未開の地だったこの当時、「1曲だけやたらカッコいいけどあとは・・・」みたいなバンドはけっこう多い、みたいな印象があって(BISCAYAとかMADISONとか)、このバンドもそうなのかな・・・とか思いきや、続く曲のすべてが素晴らしい、まさに捨て曲は見当たらない完璧なデキとなっているところがスゴイ。TANKみたいな雰囲気の「Red,Hot And Heavy」はキャッチーなサビが印象的。ジャーマン・メタルっぽくもありますね。曲名通りのまさにアツさ漲るヘヴィさにつられて、聴きながらシンガロングさせられてしまう。ポップな曲も配置されていながら全編で貫かれている強靭なヘヴィ・メタルらしさ、それこそが私がPRETTY MAIDSに惹かれた理由だったと思います。

 

その次の「Waitin' For The Time」ではさっきまでガナリ気味だったロニーのヴォーカルが突然甘くクリーンな声になって、最初は別人だと思わされた。このへんは本当にスゴイ。曲自体もキーボードが前面に出た、さっきまでのスピード&パワーのヘヴィメタルとはまったく異なる、今でいうところの「メロハー」風味。SHYとかがやってそう。このへんが「バラエティ豊か」と感じられるか、「方向性が定まってない」と感じられるかは、やっぱりそこに貫かれる強靭ななにかがあるか、そして曲のクオリティが高いかどうかっていうので決まるわけで、そこへ行くとこのアルバムはまったく文句のつけようがなくて、ポップな風味の曲があってもピュアなヘヴィ・メタルとしての魅力は損なわれない。

ポップな味付けの曲であっても、(少なくともこのアルバムでは)「アメリカでシングルヒットさせてえなあ~」とかいう動機は全然感じない。北欧らしい湿り気たっぷりの歌メロに心を打たれる。いいなあ。雄々しく荘厳かつキャッチーな「Queen Of Dreams」も最高。

 

このアルバムはCD聴いててスキップ(当時はカセットテープで「頭出し」だったけど)したくなる曲はひとつもない。最後にはTHIN LIZZYの「Little Darling」のカバーが収録されていて、当たり前ながらほかの曲とは毛色が違っているけれども、当時はオリジナルを知らなかったのもあって違和感なかったし、今聴いてもカッコいいアレンジだと唸らされる。ヘヴィ&アグレッシヴかつキャッチーな楽曲、ヴォーカルも最高、非の打ちどころが見つからない傑作と言うべきでしょう!

その後徐々にパワー・メタル風味は失われ、私も聴かなくなったが・・・

続く2ndフルレンスアルバム「FUTURE WORLD」(1987年)も「RED,HOT AND HEAVY」と同じ方向性の素晴らしいメタルアルバムで大好き。しかし曲によっては「アメリカで売れてえ」っていう意識が丸出しのものもあったりして、NWOBHMもしくはジャーマンメタルの影響を感じさせるピュアなヘヴィ・メタル色はちょっと後退する。それも楽曲のクオリティがバカ高いからそんなに気にならないけど。

 

3rd「JUMP THE GUN」(1990年)ではさらに「アメリカで売れてえ」という姿勢が露骨に。パワー・メタル色のある曲はほとんどなくなり、シュワシュワしたメロディアス・ハードに変化。

冷静に聴くと曲はすごく良かったものの、1990年当時の私は勃興期にあったデス・メタルに傾倒し始め、とにかくヘヴィなものをもとめていたので、このサウンドは受け入れられなかった。そしてその後の作品はいちいちチェックすることもなくなっていきました。

折に触れてその後の作品もほとんどを聴きましたが、そのうえでやっぱり私が棺桶に入れてほしいと思う彼らの最高傑作は「RED,HOT AND HEAVY」しかありえないなあ~と。未聴の方にはぜひともいますぐ買って聴くことをおススメします!

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