北九州市のファストフード店で中学生が刺され死傷した事件。ようやく容疑者が逮捕されたそうで、かの地の住民の方々はとりあえず一安心されたでしょうか。
今回はすぐ捕まったけれど、こういう事件で迷宮入りの可能性が出てくると条件反射的に「犯人逮捕と事件の抑止のために防犯カメラを増やせ!」とか言い出す人が増える。しかし少なくとも今回の犯人は、防犯カメラがあるのがわかっててやった、もしくはあろうがなかろうがそんなこと知るか、という感じな気がする。
つまり、防犯カメラにはたしかに犯人逮捕をスムーズにするための効果はあるかもしれないが、そういういわゆる「無敵の人」の暴走を抑止する効果はおそらくない、ということ。「死刑」も同じですね。「死刑になりたいからやった」とかいう人間だっていたわけだし、追い詰められて自暴自棄、もうすべてどうでもいいという境地に達した人間が捕まったあとのことなど考えるはずもない。
防犯カメラを増やすと監視社会になってプライバシーが!という話をすると、そこでも条件反射的に「自分は公共の場でやましいことなんかしないから防犯カメラでどれだけ見られようとかまわない」とか言い出す人も多い。スマホで盗撮されると大騒ぎするくせに、防犯カメラで盗撮されることは何とも思わないってのが私にはとっても不思議なんだけれども、たまたま自分が写った防犯カメラの近くで殺人事件が起こり、自分以外に有力な容疑者が浮上しなかった場合は、「お前しか考えられないんだよね」というふうになって逮捕されるかもしれない、という想像力がはたらかないんだろうか。カメラで撮っている側の人間をそんなに無条件で信用しても大丈夫か、ということは考えないんだろうか。
防犯カメラの件はともかくとしても、いくらカメラがあろうが死刑になろうがそんなことはおかまいなしの人間がこういう事件を起こすわけで、そうであるなら考えなければならないことは、「無敵の人」になる人をいかに減らすか、そういう人がうまれない社会にするにはどうすればいいのか、ということでしょう。防犯カメラなんぞを増やしてみんなが監視しあって疑いあって暮らすギスギスした社会になれば、おそらく「無敵の人」はますます増えるんじゃないか。
こういう事件の犯人はだいたいがお金に困っていたとか社会的に孤立していたとか他人の幸せが許せなかったりとか幼少期に虐待されていたとか、なにか「闇」をもっている人間であることが多いというのはもう周知のことなのだから、やるべきことは防犯カメラ増設ではなく、経済的格差の是正とか社会的孤立の防止とかいったことなのでは。満ち足りていればふつうはこんなことしようとは思わないでしょ。
それから気になるのは、被害者の中学生の名前や写真だのが盛大に報道されていること。そんなもの公開する必要がありますかね。いくらなんでも遺族には許可をとってるんだろうけど、するとマスコミは遺族に「写真もらっていいスか? (視聴率とるために)公開したいんでぇ」とか言って頼んだわけですよね。猛烈に気持ち悪くないか。将来○○になりたいと言ってた、みたいな話も根掘り葉掘り聞きだしたわけでしょ。「なんか感動的エピソードないっスか? そのほうが視聴者の感情に訴えかけやすいんスよ」とか悲しみに打ちひしがれた遺族や友達に言ってる姿を想像すると吐き気がしてくる。
ワイドショーのコメンテーターは「将来も夢もあったのにそれを奪われ気の毒」とかぬかしていたけれど、その被害者のプライバシーを全国に垂れ流し、さらに追い打ちをかけるようにいためつけている、という認識にはいたらないんだろうか。行方不明事件とかならともかく、この件で被害者の名前や写真や人となりを盛大に喧伝する必要がどこにあるのか。あるとすればそれは報道する側の「そのほうがカネになるから」ということだけでしょ。ああ気持ち悪い。だからマスゴミなどと言われてしまうのに。
GLADIADOR「IN...REQUIESCAT IN PACE」
パラグアイのスラッシュメタルバンド、GLADIADORの1st。2014年作。
Amazon.co.jp In... Requiescat in Pace
南米産スラッシュは私の大好物であるので、それと知ったらとりあえずなんでもいいから買っちゃうのです。北米のバンドと違って、どこか特有のジメっとした雰囲気をもったバンドが多いですからね。
そしたらこれが個人的にはけっこう「当たり」。初期SEPULTURAやKREATORあたりに近い荒々しさを残しつつ、いわゆるNEW WAVE OF THRASH METAL的な部分もあわせもった、オールドスクールなスラッシュを聴かせてくれる。サタニックなイメージを押し出しているようだけど、サウンドにはあまりそういうのはあらわれていませんね。
とくに猛烈に速いわけでもなければものすごくカッコいい曲があるわけでもないけれど、ぜひとも聴いてほしい作品。こういうの好きなんだからしょうがない。ただ吐き捨ててるだけのようなヴォーカルも、けっこうキャッチーなところをもたせようとして頑張ってる。このあとの作品はないのかな?
おススメ度・・・★★★☆
THRONE OF KATARSIS「AN ETERNAL DARK HORIZON」
ノルウェーのブラック・メタルバンド、THRONE OF KARTARSISの1st。2007年作。
Amazon.co.jp An Eternal Dark Horizon
このバンドの作品はこれまでに3枚紹介。ようやくこの1stを聴くことができました。
今週聴いたもの:2023年7月20日~7月26日(POWER QUEST、THRONE OF KATARSIS、FACEBREAKER)
今週聴いたもの:2023年7月6日~7月12日(BLACK TORA、THRONE OF KATARSIS、MOTIONLESS IN WHITE)
BATHORYっぽさが濃い、大作主義のブラック・メタルであるのは後続の作品と同様。10分とか12分とかの曲で占められている。しかしのちの作品よりはわかりやすいというか、ストレートにアグレッションをまきちらす感じではあるかな。後発作品の、聴いてると絶望につつまれ死にたくなってくるような圧倒的ダークさはまだまだあらわれてきてないような。
しかしそのクオリティは高い。あまりに曲が長すぎてダレるところはたしかにあるけれども、BATHORYファンのみならずブラック・メタル好きであるなら、ぜひとも聴いておきたいバンドじゃないかと。
おススメ度・・・★★★☆
ARTESIA「CHANTS D'AUTOMNE」
フランスのゴシック・デュオ、ARTESIAの2作目? 2007年作。
メタルだと思って買ったんですが、曲はゴシックメタル風味もあると言えばあるもののディストーションのかかったギターなどは一切出てこず、まあメタルとは呼べませんね。アンビエントミュージックといったほうがいいのかな。その方面には明るくないのでよくわからない。
アルバム1枚、こんな感じの曲が延々と続きます。女性2人組(美人)らしいがふたりで歌ってる感じは全然しない。
まあ~悪いけど全部同じ曲にしか聴こえませんでした。聴いてると猛烈な眠気に襲われる。寝床に入ってからこれをかければ熟睡できそうな、やすらぎをあたえてくれる音楽ではあると思うけど、聴いてて感情がゆさぶられるようなところがあるかっていうと・・・少なくともメタルファンにはそう感じる人は少ないんじゃないか。
おススメ度・・・★★☆