2024年12月、まもなく来日するJUDAS PRIEST。
私をメタルの世界に引きずり込んでくれた偉大なバンドのひとつ。最後になるかもしれない?来日を前に、その名盤を振り返っておこう、と。
私が彼らの音楽に初めて触れた超名作「DEFENFDERS OF THE FAITH」についてはかなり前に書きました(ヘヴィ・メタルとはなにか、を思い知らされた名盤~「DEFENDERS OF THE FAITH」/JUDAS PRIEST~) 。そのあまりのカッコよさに完全にKOされた中学生の私。「DFENDERS~」のライナーノーツや雑誌から、どうやら「DEFENDERS~」の前に出たアルバムは「SCREAMING FOR VENGEANCE」(邦題:「復讐の叫び」)で、それもとんでもなくスゴイ作品であると評価されているらしい、と知ります。
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JUDAS PRIESTのほかの作品も聴かなくては!という衝動に駆られた私は、残っているお小遣いを握りしめてチャリンコで近所のレンタルレコード店へ走り、「J」の棚から「復讐の叫び」を探し出しました。
「DEFENDERS~」はヘンなロボットみたいなのがジャケに書いてあったのが、こっちはトリなのね。しかしデザインには同じ人がつくったんであろう共通性がある。無知だった私は、IRON MAIDENのジャケに必ず「エディ」がいるのと同じようにJUDAS PRIESTのジャケはこういうロボ的なキャラがいるもんなのか、と勘違いしましたが、そこにあったほかのアルバムのジャケットにはそういうのがない。「SIN AFTER SIN」や「SAD WINGS OF DESTINY」のジャケはカッコイイと惹かれたものの、「POINT OF ENTRY」「KILLING MACHINE」は「なにこれ・・・」と思ったのを覚えています。
見つけ出した「SCREAMING FOR VENGEANCE」のLPレコードをカウンターにもっていって、当日返却の200円だったか250円だったかを払い(翌日にすると料金が100円くらいアップしてしまう)、ドキドキしながら急いで帰宅、ダビングするカセットテープをセットし、レコードをターンテーブルにのせました!
冒頭はあの名曲!
すると重厚かつ荘厳、劇的きわまりない序曲「The Hellion」が始まります。
私はこれの前にすでに聴いていたIRON MAIDENの「Ides Of March」をすぐに思い出しました。まだメタル経験値のほとんどなかった私は、こういうふうにドラマティックに序曲から入っていく流れにすっかり魅せられ「これがメタルの様式というものか」と。どんな流れで次につながるんだろう。
すると「Electric Eye」のリフが鋭く切り込んできて・・・
↑このライヴ映像のロブの登場の仕方はちょっとカッコよすぎだろ。このライヴは2012年に出た「SCREAMING FOR VENGEANCE SPECIAL 30TH ANNIVERSARY EDITION」に付属していたDVDで全編観ることができます。屋外、しかも明るいうちのライヴ映像ってなかなかないし、なによりパフォーマンスが素晴らしいので、これからこのアルバムを買おうというのなら断然このエディションがおススメ。MCには字幕も入れてくれている。
Amazon.co.jp 復讐の叫び-30thアニバーサリー・エディション-(DVD付)
いやあいつなんどき聴きなおしてもそのカッコよさに圧倒される。40年以上を経てもまったく色褪せない名曲! 劇的な展開、スピードにのる鋭くキャッチーなリフ、勇壮な歌メロ、アグレッシヴかつメロディアスなギターソロ・・・
これがヘヴィメタルというものなんだなあ。先日の記事→JUDAS PRIESTがまもなく来日! で「メタルとはなんぞや?」と問われたときに「これ聴けばわかる」と示すとすればなにか、という話を書きましたが、その答えはまさにここにある。私の葬式のときは出棺のときにこれを流してほしい。そういえば女子プロレスラーのアジャ・コングはこれを入場テーマ曲として使っていましたね。
「DEFENDERS OF THE FAITH」アルバムのラストに入っていた「Defenders Of The Faith」は、歌詞が「We Are Defenders Of The Faith」という一言の繰り返しだったのに、レコードについていた対訳はたしか「今、メタルの神に忠誠を誓う」とかいう、当時中学生で辞書を引きながら歌詞を読んでいた私には理解不能なものになっていた(と記憶しています。間違ってたらゴメンナサイ。当時モノの国内盤LPは所有してないので確認できない)。手元にある「DEFENDERS OF THE FAITH SPECIAL 30TH ANNIVERSARY EDITION」の対訳は「俺たちこそ信念の擁護者なんだ」というまっとうな訳になっていて、まあカッコいいのは前者のほうなんですけど、ともかく「The Hellion~Electric Eye」を聴いてノックアウトされた私はまさに「JUDAS PRIESTに忠誠を誓う」という気持ちになっていました。今になって思えば、JUDAS PRIESTに忠誠を誓う、ということはそれすなわち「ヘヴィ・メタルに忠誠を誓う」ということと同義だったわけで、その意味でこの曲は私の人生に多大な影響を与えてくれました。こういうカッコいい曲を聴いたときに感じる、鳥肌がたち涙がにじんでくるような快感。それなしではもう生きていくことができなくなった。
とてつもなくハイテンションかつキャッチーな曲が目白押し!
「Electric Eye」のあとに間髪入れずドコダカドコダカというドラムとともに切り込んでくるのは「Riding On The Wind」。ロブのキョーレツなハイトーンによるキャッチーなサビが耳から離れなくなる!
まさに歌詞通りの疾走感と爽快感。ヘドバンしながらシンガロングせずにいられない! 最盛期のPRIESTはそんな曲が盛りだくさんでしたね。
あまり話題になることはない曲だけど個人的に大好きなのは5曲目の「(Take these)Chains」。最新作「INVINCIBLE SHIELD」にも「The lodger」を提供したボブ・ハリガンjrによる曲。
はじめて聴いた当時メタル経験値がほとんどない中学生だった私であっても、「ほかの曲とずいぶん違う感じだなあ~」とわかりましたが、これがイイんだなあ。キャッチーかつ胸に迫ってくるサビがたまらん。周囲にあるものすべてを切り裂きまくるシャウトから、こういうせつなく包み込むような歌唱までこなすロブの凄さも、ガキだった私に強大な衝撃をあたえてくれた。
続いてこちらもキャッチーかつヘヴィなサビが耳に残る「Pain And Pleasure」でアナログレコードA面が終了。
そしてレコードB面は、これまたロブの金切りシャウトが炸裂するスピードナンバー、「Screaming For Vengeance」で幕開け!
リフもソロも曲展開もロブの歌唱も、PRIESTらしさ、PRIESTの魅力が凝縮された名曲! いやあカッコいい。こういう作品、こういうバンドに中学生のときに出会えたのは幸運だった。ガキのときにこれの洗礼を受けたら、もうポップな曲では到底満足できなくなってしまうのも当たり前。私をメタル脳にしてくれた偉大な作品。偉大なバンド。
ライヴでは定番のあの曲は、じつはあんまり好きじゃない
で、B面2曲目は「You've Got Another Thing Comin'」。彼らがアメリカで売れるきっかけとなった、彼らにとっては重要な曲、ライヴでも必ずといっていいほど演奏され、ロブとオーディエンスの掛け合いで盛り上がる定番曲・・・・
・・なのですが、個人的にはこのアルバムを聴いてていちばん盛り下がる曲。中学生の時からそう思っていたから、やっぱり私は根本的にアメリカ人の好むっぽいものは好きになれない感性しか持ってないらしい。もちろんよく聴けば「らしさ」も垣間見えるんだけど・・・
不思議なことに(?)私がこの曲好きじゃないと言うと、「なんで?カッコいいじゃないか」という反応をされることが多い。
まあどのアルバムも多彩なタイプの曲が詰まっているのがPRIESTだから、あんまり好きじゃない曲の1曲や2曲は必ずあって、私の場合このアルバムにおいてはこの曲がそれ、っていうだけのこと。
私は「DEFENDERS OF THE FAITH」から入ってさかのぼってこれを聴いたので、「DEFENDERS~」と比較すると音像としてはドライというか、「DEFENDERS~」のようなジメジメと湿ったダークさはないんだな、という印象をもった覚えがあります。どっちも曲は最高にカッコいいからそのへんはべつにいいんですけどね、好みでいうなら「DEFENDERS~」のサウンドが好きかな。
ということで、「SCREAMING FOR VENGEANCE」は私の数ある「棺桶アルバム」のなかでもピカイチの名盤!おそらく死ぬまで聴き続けるでしょう。次はまたさかのぼって「POINT OF ENTRY」や「BRITISH STEEL」あたりを聴きなおしてみましょう!